MITのジャオ・スァンホ(Xuanhe Zhao)教授チームは、透明なジェルを使って魚型ソフトロボットを開発。関連論文を科学学術誌「ネイチャーコミュニケーション」に発表した。
研究チームは、レプトケファルス(leptocephalus)というシラスウナギから透明なロボットの着想を得た。研究員のひとりは「ウナギの稚魚であるシラスウナギは海で生まれ、自分たちの生息地である川にのぼるまで長距離にわたり旅行をするが、(その際)体を透明にする方法で自分自身を保護する」とコメント。そして透明な身体、スピードおよびパワーを備えたロボットを開発することになったと経緯を説明している。
研究チームは、シリコンなどゴム素材ではなく、透明なハイドロジェル(hydrogel)をロボットの開発に使用した。そして魚型ロボット以外にも、ソフトロボットハンドなど、さまざまなロボット製作を試みており、研究成果を水中ロボットにも応用するかまえだ。
なお研究チームは、そのソフトロボット技術が医療分野に適用できると見ている。ジャオ教授は「ハイドロジェルは柔らかく生体適合性を持つ。人体内部の組織や臓器とよく合う」と述べている。現在、医療グループと協力して、ソフトロボット技術を外科手術時に組織や臓器をスムーズに扱うことができる医療機器のソフトアクチュエータとして活用する計画を進めている。
今回の研究は、米海軍研究所、米国科学財団、MIT軍人ナノテクノロジー研究所などの支援を受けて行われている。
photo by MIT