最新ロボットアームなんと「猫のザラザラした舌」を模倣か!?…米ジョージア工科大

ロボティア編集部2016年11月27日(日曜日)

 本来、固い手を持つロボットは、柔らかいものを掴むことが苦手だ。今回、その弱点が解決されるかもしれない研究結果が発表された。

 米ジョージア工科大学は、11月20〜22日に開催された「第69回アメリカ物理学会流体工学部門年次大会(American Physical Society's Division of Fluid Dynamics =DFD」で、
「柔らかい素材を掴みにくい“ロボット”に猫の舌の中の突起原理を適用するとロボットが簡単に素材を掴むことができる」という研究結果を発表した。

 研究チームは、高速カメラで猫の舌の原理を撮影。400%拡大して、3Dプリンタで印刷した。猫の舌には0.5㎜程度の小さな突起がぎっしり生えている。これは、小乳頭状突起(papilla)と呼ばれる。

猫の舌_ソフトロボット2
photo by noel,et a

 猫にとって突起は毛繕いに最適。猫は舌を使って自分の全身を毛繕いするが、その行動は「グルーミング」と呼ばれる。舌の表面の突起が毛の間のほこりを除去するのに役立ち、背骨の下の毛などまで整えることができる。

 ジョージア工科大学のエンジニアであるアレクシス・ノエル氏は「猫の舌やその模倣製品は、毛を除去する能力に優れている」とコメント。そのため猫の舌の突起を調べてみたところ、ひとつひとつが“フック”のような形であることが分かったと説明した。

「既存の毛櫛型突起は、厚く、まっすぐな形をしている。髪をとかすときなどに厚い異物が付着(はさまる)すると、手で除去しなければならない(中略)一方、猫の舌の柔軟な突起は、これを取り除くのがはるかに簡単だ」(ノエル氏)

 ノエル氏はまた、「この研究結果は、ソフトロボットの未来に影響を与えるだろう」と強調。「生体模倣原理は掃除製品、髪の櫛、医療分野まで広範囲に適用することができる」と述べた。現在、科学者たちは、滑らかな材料の表面をつかむことができる方法を模索しているが、困難に直面している経験している。ノエル氏は、猫の舌から答えを見つけることができるのではないかと助言した。

ジョージア工科大学の研究チームは、トラ、ライオンなど、他のネコ科の動物も研究。猫の舌の突起についてさらに詳しく調べる計画だとしている。

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photo by Quinn Dombrowski (via flickr)