誤飲した電池を排出...MITが錠剤型「折り紙ロボット」を開発

ロボティア編集部2016年5月19日(木曜日)

 近年、アメリカではボタン型電池を誤って飲み込む誤飲事故が、年間で約3500件以上発生すると言われている。被害者の大半が幼児や乳児だ。奇跡的に体外に排出される場合もあるが、やけどや出血を引き起こし、最悪の場合、死に至るケースもあるという。

 アメリカのマサチューセッツ大学(MIT)をはじめ、イギリスのシェフィールド大学、日本の東京工業大学などは、その問題の解決にむけて協力しあってきた。そしてこの度、MITなど共同研究チームは体内の電池を探し、体外に排出させる「折り紙ロボット」を開発したと発表した。

 このロボットの仕組みは、真ん中に磁石が付いていて、その周りはソーセージに使われるような豚の腸で覆われている。その形が紙を折りたたんだような形になっていることから、’おりがみロボット’と呼ばれている。真ん中に付いている磁石と、外部の磁場を利用して、ロボットの動きを制御することができるのだという。

 体内で電池や異物を探し、体外へと取り出してくれるこのロボットは、元は錠剤の中に入っている。人が錠剤を飲み込み、薬が溶けると機能を始める。そして人が動く際の振動を利用して、胃の表面を無造作に滑りながら活動する。なお、この動きは“スティック・スリップ・モーション”と名付けられている。見た目は少しグロテスクだが、人間の体には優しそうなロボットだ。

折り紙ロボット_ダニエララス
photo by MIT(via youtube)

 今回発表されたおりがみロボットは、昨年5月にMIT研究チームが公開した既存のおりがみロボットの後継機でもある。マサチューセッツ工科大学CSAIL所長であり、ロボット専門家であるダニエラ・ラス(Daniela Rus)氏は「この小さなロボットが今後、医療現場
で重要な役割を担っていくのだと思うと、大変嬉しいことだ」と述べている。

>>無人自動車の権威ダニエラ・ラス所長、無人車の現在と未来を語る

 この研究結果は今月16日から21日までスウェーデンのストックホルムで開かれる世界最大のロボット学会のひとつ「ICRA 2016(International Conference on Robotics and Automation)」で発表される予定だ。