ハーバード・ウィス研究所(以下、Wyss)、工学・応用科学スクールは、新しいタイプのウェアラブルスーツを開発するプロジェクトを進めている。研究者たちの目標は、補助的なウェアラブル機器を「個人化=パーソナライズ」し、支援が必要な個々人の動きと同期させることだ。
研究員のYe Ding氏は海外メディアの取材に答え、方々で開発されているウェアラブルロボットは、着用する人によって大きな反応の差を生んでしまうとした上で、「私たちは着用者の反応をダイレクトに把握できるスマートアルゴリズムを開発した(中略)これは、個々人が歩行経済性を向上させるため迅速に最適化できるよう、エネルギー消費量を測定してくれる」と説明している。
健常な人々のほとんどは、歩く能力についてそれほど深く考えを巡らせたりはしない。なぜなら、それが当たり前だからだ。しかし、身体的な障害を抱える人にとってロボティクスなど支援技術は不可欠。しかも、パーソナライズされることの意義はとても大きい。そしてその技術は、健常者の力を増幅させたり、歩く能力そのものを向上させる「外骨格スーツ」の源泉技術としても活用可能となるはずだ。
Ye氏ら研究チームは、「ベイズ的最適化」(Bayesian optimization)などの手法をアルゴリズム開発に導入。結果、ウェアラブルスーツ装着者のエネルギー消費量を、装着していない場合に比べて17.4%減少させることに成功したという。研究チームは、今後の技術をさらに最適化させ、臀部や足首など、複数の関節を同時にサポートしていく技術を開発する計画だ。