韓国軍「ウェアラブル筋力増強ロボット」に巨額投資...行軍スピード2倍に

ロボティア編集部2016年12月1日(木曜日)

 韓国軍当局が、疲れを軽減したり、重い荷物を簡単に持ち運ぶためのウェアラブルロボット=ロボットスーツを開発する。韓国防衛事業庁は、国防科学研究所(ADD)とLIGネクスワンと共同で、2020年までの4年間で、同研究・開発に200億ウォン(約20億円)を投資。民・軍でともに活用できる「複合任務用ウェアラブル筋力増強ロボット」技術を開発する計画だと28日明らかにした。韓国各紙が詳細を報じた。

 このウェアラブルロボットを戦闘服の上に着用すると、最大70㎏の重量の荷物を持ち移動することができる。40㎏の重量の荷物を持った時には、時速10㎞で走ることも可能だそうだ。歩兵の一般的な行軍速度である時速4㎞より、2倍以上速いスピードだ。

 今回の開発では、国防科学研究所が起動能力に重点を置いた“高機動下肢の高速同期制御技術”の開発を担当。一方、LIGネクスワンは重い物を持ち上げるための“高荷重上下肢統合運用管理技術”および“ウェアラブル筋力増強ロボット用高密度電源技術”を担当する。

「未来の戦闘環境では、兵士が携帯する個人火器など戦闘荷重が増える一方、担当する作戦領域はますます広がると予想される。そのような環境では、筋力増強ロボットが任務遂行能力の向上に大きく貢献するだろう」(韓国防衛事業庁側のコメント)

 防衛事業庁は、技術開発が完了後に試験運用などを経て、2020年代半ばに戦力化されるものとの期待を示した。同時にこのロボット技術が、人命救助、災害現場、産業・建設現場など民間分野でも使用できると説明している。

韓国軍_ウェアラブルロボット
photo by 韓国防衛事業庁

 同事業を担当する防衛事業庁のユ・ヘイル計画運営部長は「民間防衛の技術力を総結集し、実用性の高いウェアラブル筋力増強ロボット技術を開発する。確保された技術は、軍民で相互に共有を拡大していく(中略)韓国の優秀なIT技術を最大限に活用し、未来の先端国防技術の開発に全力を尽くしたい」と述べている。

 なお、ウェアラブル筋力増強ロボットの開発は、日米などでも進んでいる。技術先占のための競争は熾烈になりつつある。米国は、軍事用はもちろん、リハビリ・医療用などさまざまな分野で活用可能なロボット技術を開発しており、日本では2025年までに高齢者の生活支援を目的とし、940万台規模の着用型ロボットの普及を計画しているとされている。

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photo by Republic of Korea Armed Forces