自動でフィットする「ロボットシューズ」登場...ZOZOスーツに続き進むアパレル業界のスマート化

大澤法子2018年3月27日(火曜日)

2017年末、アパレル系オンラインショッピングサイト「ゾゾタウン(ZOZO TOWN)」は、着用するだけで肩幅や胸囲などを採寸し、身体にフィットした服を提案可能なゾゾスーツの無料配布を開始。今、最先端AI技術がアパレル業界の変革の加速化を促す立役者として注目を集めている。

そんななか英国のテクノロジー企業、ケンブリッジ・デザイン・パートナーシップは世界的シューズブランド「エコー(ECCO)」と協働し、個々人の足のサイズに合わせてカスタマイズ可能なデータ駆動型シューズを生み出していくことを14日発表した。4月には、オランダの首都アムステルダムの中心部に拠点を置くイノベーション・ラボ・エコー(Innovation Lab ECCO=ILE)は、パトリツィオ・カールッチ(Patrizio Carlucci)氏を中心に発足した「QUANT-U」プロジェクトを本格化させる予定だ。

ILEの代表を務めるカールッチ氏は今後の活動の方向性について、「私自身、靴の設計・デザイン分野での長年のキャリアを通じて、100%フィットする靴に拘り続けてきた。同プロジェクトでは、見た目の良さとともに機能性の向上に照準を定めつつ、未来のテクノロジーとの融合を視野に入れたい」と述べている。

現時点ではケンブリッジ・デザイン・パートナーシップ、ECCO両社の尽力によりロボットシューズの原型が完成したところだ。靴のソール部分に、ジャイロスコープ、圧力センサー、加速度計といった各種ウェアラブルセンサーを搭載。靴の中の温度や湿度などのデータを収集しながら、靴を履いている人間の足の構造を測定し、移動方法に関する情報を解析する。ちなみに、このプロセスに要する時間はわずか数分だ。その後、生物工学的パラメータを基に幾何学データへと変換。数時間以内に、自分の足にぴったり合ったオーダーメイドの靴が完成する。

「ウェアラブルセンサーは地面に最も近接しており、なおかつ人間の身体の一部に覆い被さった状態で動作する。左右の靴は同時にデータを読み取った後、スマートフォンなどの接続デバイスへデータを送信しなければならない。人体がワイヤレス信号に対する阻害因子となり得る状況下での情報通信の保持方法について結論を下すことは、我々エンジニアにとっての最大の挑戦でもある」とケンブリッジ・デザイン・パートナーシップのソフトウェアエンジニア、ロベルト・バジーレ氏とコメントした。

Photo by QUANT-U HP

大澤法子

記者:大澤法子


翻訳者・ライター。1983年、愛媛県生まれ。文学修士(言語学)。関心分野は認知言語学、言語処理。医療・介護分野におけるコミュニケーションに疑問を抱いており、ヘルスケアメディアを中心に活動中。人間同士のミスコミュニケーションに対するソリューションの担い手として、ロボット・VRなどがどのような役割を果たし得るかを中心に追及。

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