ブラジルで開催されているリオ五輪。4年に1度のスポーツの祭典では、世界各国のトップ選手が鎬を削っている。
これまで、スポーツ選手のパフォーマンスをデータ化して分析するのは、プロトレーナーの専売特許だった。が、最近ではその傾向に変化が現れはじめた。IoT技術を取り入れたイノベーションがトレーニングそのものを変えようとしており、アスリート自身がスキルを向上させるためのデータ収集・分析を行える環境が整いつつある。
例えば、韓国の大手メーカーであるサムスン電子が発表したスマートシューズ「アイオーフィット(IOFIT)」がある。これは、サムソンのベンチャー育成プログラム「シーラボ(C-Lab)」に支援されたスタートアップ企業、「ソルテッド・ベンチャー(Salted Venture)」が開発した製品だ。
アイオーフィットは、フィットネスシューズの底に、圧力センシング・システムが搭載された製品。センサーが、体重移動や身体バランス、衝撃や重心位置などあらゆる情報を計測する。計測されたデータはリアルタイムで更新され、アイオーフィットと連動するスマートフォン専用アプリに表示される仕組みになっている。
選手は専用アプリを通じて自身のフォームをチェックしたり、データを確認することができる。また専用アプリのビデオ機能を使って、コーチやトレーナーとデータをシェアしたり、そのデータに対して音声でアドバイスを受けることができる。
ゴルフ選手がこの製品を利用すれば、ビデオ画面でフォームを確認することができる。また、コーチ側が活用できる分析ツールも提供されており、選手に対して感想や知見をすぐにフィードバックできることも強みのひとつとなっている。
ソルテッド・ベンチャーのCEO、チョ・ヒョンジン氏は「これまでスイング姿勢を分析したり、プロのフィードバックを受けるためには、高価な授業を受けたり、数百万円もする器具を購入しなければならなかった。しかし、こちらは一足の靴とアプリを通じて、短期間、かつ簡単にゴルフの実力を向上させることができる」と説明している。
アイオーフィットの靴底には防水処理が施されており、150kgの重量まで耐えることができる。内蔵されたセンサーは、ミリ秒単位まで些細な圧力変化を感知できる。 専用アプリはiOSやアンドロイドなど幅広いOSをサポート。 バッテリー連続使用時間は5日となっている。また、靴底は男性用と女性用に分かれており、靴のサイズは23~30センチまで選ぶことができる。
なお同製品は、クラウドファンディングサイト「キックスターター(Kickstarter)」を通じて資金を募ったところ、わずか10時間で目標額を達成した。実際にどのように製品化されるか、注目が集まる。