プロ野球もAI時代へ…配球を読む「投球予測システム」韓国で導入され大反響

ロボティア編集部2017年11月4日(土曜日)

スポーツ分野でも活躍を始めている人工知能。韓国のプロ野球では、投手の配球を人工知能に予想させるというプロジェクトが進められており、その精度が80%に達したとして、関係者や視聴者の高い関心を集めている。

韓国の放送局・SBSは、プロ野球の年間シリーズ中継に、AIを使った投球予測システムを導入。その予測結果をSNSなどで公開するという試みを行った。今回開発されたAIは、SBSスポーツとインテルが共同で開発したものだが、その的中率はシリーズ平均60〜80%という高い的中率を見せたという。

ディープラーニングを採用したその「AI投球予測システム」は、2017年の韓国プロ野球レギュラーシーズン中の約22万球の投球データを収集・学習して生み出されたものだ。プロジェクトマネージャーのク・ギョンモ氏は「伝統的な統計ベースの数学的モデリング手法と、時系列データ学習のためにニューラルネットワークを使用した」とし、AIが投球を予測する過程を説明している。

韓国シリーズで披露されたAI投球予測システムの予測精度は、プロ野球ファンの間でも大きな反響を呼んでいる。特に韓国シリーズ第5戦で、KIAタイガーズの先発として登板したヘクター選手の配球が不思議なくらい当たると、「おもしろい」という反応とともに、「戦力分析チームや専門家たちも、ビッグデータを利用する必要性があるのでは」という声も挙がりはじめている。

SBSスポーツと共同でプロジェクトを企画したインテル・コリアデータセンターグループのナ・スンジュ常務は、韓国メディアのインタビューに答え、「スポーツのなかでも野球はデータが重要な競技だ。データ自体が重要なコンテンツであり、データからさらに良いコンテンツを生み出すことで、『本当の野球』を見せることができる(中略)多くのデータを使用した人工知能は世界を変えるし、スポーツ放送分野でも新しい風を呼び起こすだろう」と話している。

まだまだ実証が必要だとは思われるが、配球を読むAIの登場は非常に興味深い。過去にラグビー日本代表などは、ドローンを使った俯瞰映像で戦略分析を行ったという事例がある。そのようなデータをAIと組み合わせれば、新たなインサイトが生まれてくる可能性は高い。戦略分析をいかに機械で代替していくか。スポーツ業界にとっても、抜き差しならないテーマとなりそうだ。

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Photo by SBS Sports