警察データベースと連動「AI搭載監視カメラ」韓国で2018年から導入へ

ロボティア編集部2017年6月5日(月曜日)

 韓国電子通信研究院(ETRI)の情報保護研究本部研究チームが、韓国・警察庁と連携。交通状況や犯罪をリアルタイムで検出する人工知能(AI)搭載型の監視カメラ開発に乗り出すと明かした。

 監視カメラは、問題を解決するために決定的な証拠を提供するが、低画質や監視要員不足などにより、犯罪・事故を見逃してしまう場合もある。そのため、ETRIの研究チームは、監視カメラとAI技術を結合させた「クラウドベースのインテリジェント映像セキュリティ技術」の開発に着手した。

 今回の技術およびソリューションには、交通事故を自動検出するための動画ディープラーニング技術、容疑者や用の車両を識別・追跡する認識技術、ビッグデータを使った学習技術、映像セキュリティ侵害防止技術など、先端技術が数多く採用される予定だ。

 同システムは、交通事故や犯罪など危険な状況をリアルタイムで検出し、即時、警察に通報。事故と関連した容疑者と車を自動的に識別して追跡する。特に深夜や早朝など、監視が脆弱だとされる時間帯に威力を発揮できるよう、開発が進められる計画になっている。また、肉眼では区別できない低解像度の車両ナンバープレートを自動的に識別する「インテリジェント車両ナンバープレート読み取り技術」も採用される。最終的に、警察庁の犯罪データベースに格納された容疑者の顔情報と、察知した映像を自動的に照合することを目標としている。

「他人に危害を加えようとする脅威行動、銃やナイフのようなものを自動的に認識し、犯罪を抑止できる技術を求めている」(韓国・警察庁関係者)

 ETRI研究チームと警察庁は第1段階として、2018年半ばまでに低解像度の車両ナンバープレートを読み取る技術を確保。第2段階として、交通事故発生後の3秒以内に事態を察知し、関係各所に通報する技術を開発する計画だ。第3段階としては、2〜3年以内に、観光客が多く訪れ交通事故や犯罪率も高い済州島でテスト運用を行う計画だ。今回の技術のメリットは、すでに全国に設置された監視カメラを交換せずに、各自治体の映像統合管制センターと警察庁の関連施設と連携させ活用できる点にある。

 一方、AI監視カメラが普及することで、市民監視が強化されるという懸念もある。ジョージ・オーウェルの小説『1984年』に登場する「ビッグブラザー」が立ち現れるという不安だ。これに対して、韓国の警察関係者は「今回開発される技術は、監視カメラ分析官が行う業務をより効率的にするもの。関連技術が法の枠を超えないよう、別の政策研究を進める計画だ」と説明している。

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photo by ETRI