英HSBCがAI企業・Quantexaと提携し違法取引の摘発強化…「マネロン加担」の批判受け対策

Jin Kodama2018年4月11日(水曜日)

欧州最大の銀行であるHSBCが、英スタートアップ企業・クオンテクサ(Quantexa)のAIソフトウェアを導入し、顧客データおよび金融取引の詳細を確認していく方針だという。欧米主要メディアが詳細を伝えた。

HSBCはこれまで、富裕層や犯罪組織のマネーロンダリングを幇助しているという批判を受けてきた。メキシコ麻薬界の大物やイランやスーダンに対する米国の制裁違反などに加え、2015年には世界の富裕層10万人の脱税を幇助していた事実が明るみになった。その後、HSBCは会計監査システムの改善のための投資を拡大してきた。

数ヶ月前、アンゴラの前大統領の息子が関与した5億ドル規模の詐欺に関連する口座を摘発・凍結できたことも、そのシステムが稼働した成果だとHSBCは説明している。HSBCはAIソフトウェアの導入で、今後、怪しい金融取引をリアルタイムにほど近いタイミングで摘発できると期待を寄せている。

2016年に創業されたクオンテクサのソフトウェアは、電話番号、住所、ニュースなど、さまざまな情報源からの情報を分析。怪しい取引を見つけ出す。HSBCはクオンテクサ以外にも、マネーロンダリング調査・防止を自動化するためにAIの専門家とも提携したという。

ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)、デンマークのダンスケバンク(Danske Bank)、シンガポールのOCBC銀行など多くの金融機関は、金融犯罪を防止するためにAIなど先端技術を活用している。それらのテクノロジーが、犯罪対策だけではなくコスト削減にも寄与し始めていることは言うまでもない。ちなみに、英金融行為規制機構(FCA)によれば、英国内の銀行は金融犯罪に対応するため、年間50億ポンド(約7500億円)のコストを投じているという。

Photo by Quantexa HP