AIの時代"第4次産業革命”で人間が養うべき能力とは

ロボティア編集部2016年12月11日(日曜日)

 韓国・高麗大学のカン・ソンボ教授が、テクノロジーの加速度的発展、また第4次産業革命に備え、新たに強化すべき教育的側面をいくつか提案した。まずカン教授は「これからの技術変化の速度はとても早い。そのため、未来の社会を予測するのは簡単ではない」と前置きしたうえで、次のような能力を鍛えるべきだと主張した。

①批判的思考能力

 カン教授は、現代社会を生きる人々は、時間・空間的な制約を受けず、“無限”に近い情報環境にさらされている。そのため、自身および自身が属するコミュニティーにとって、有益な情報を批判的に選び取り、優先順位を判断しなければならないとする。

②洞察力

 世界で起きている現象を総体的に俯瞰し、その核心や本質を捉える能力だ。ビックデータを活用する人工知能とは異なり、人間はスモールデータで真理を発見する能力がある。人工知能には実行が難しい能力を養う教育を進めなければならない

③共感・疎通能力(コミュニケーション能力)

 他人の心中を把握し、適切な反応をする能力は、まだまだ人工知能が代替できない、人間固有の能力だとカン教授は指摘する。人間は感じること、意思疎通など日常的な行為を簡単にこなすことができるが、複雑な計算などは苦手だ。機械や人工知能はその逆となる。人間が得意とする能力を養うことが重要と指摘した。

④創意性とコンピューティングシンキング

 人工知能時代には、多くの知識を頭に詰め込むよりも、問題をどう創意的に解決するかが重要になってくる。また、現在はコンピューター時代だ。そのため、コンピューターと、コンピューター言語、プログラミング言語で問題を解決する能力を養わなければならない。すなわちコンピューティングシンキングの能力を高められる環境を用意しなければならない。

 カン氏の指摘は主に、韓国社会やその教育の現状を置いてなされたものだが、日本の実情とも共通する部分がある。テクノロジーが加速度的な発展を遂げる現在、教育の重要性はどの国においてもさらに高まっていくとみられる。

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