市場調査会社・モルドールインテリジェンスは、人工知能(AI)技術を導入する食料品関連企業が、2019年から2024年までの間に65.3%増加すると予想している。近年、AIやロボットが設置された無人店舗が続々登場している。今後は、顧客の好みの分析やメニュー提案にまでAIシステムの採用が広がっていく見通しだ。
米国現地メディアの報道によれば、マクドナルドは今年3月、AIベンチャー企業・ダイナミックイールド(Dynamic Yield)を3億ドルで買収。店頭に導入するためのAI技術の研究を行っている。マクドナルドは今後、ドライブスルー店舗で限定的にテスト運用していた同技術を一般店舗にまで拡大していく計画だ。
販売の現場のみならず、製品開発の段階にもAI技術が積極的に活用されている。コカ・コーラ社はAIを使って、「チェリースプライト」という商品を生み出した。コカ・コーラは新製品の開発に先立ち、米全域にさまざまな種類の飲み物がでる飲料台を数千台も設置。そこに保存されたデータや情報をベースに新製品を開発した。
食品企業・ケロッグは、IBMのレシピAI「シェフ・ワトソン」を利用し、新しいレシピの提案を受けている。調味料を販売するマコーミックもIBMと提携し新製品を開発している。そこでは、AIの提案を試食し評価・修正するのが人間の役割となっている。
韓国LG電子は、今年9月に特許庁に「人工知能調理機器」という特許を出願している。 同社の説明によれば、AIが食材の画像を解析し重さや長さなどを把握。それぞれの食材に応じて調理コースなどを設定してくるのだという。
中国の有名火鍋チェーン・HaiDiLao(海底撈))では、キッチンやホールにロボットが導入されている。また「IKMS(Intelligent Kitchen Management system)」というシステムが、キッチン、フロント、倉庫など店舗全体の効率化の役割を果たしている。
飲食業界においてどのような人工知能のユースケースが登場するか。今後、ますます注目したい。
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