中国テンセントが米国にAI研究拠点新設...音声認識や自然言語処理技術の向上狙う

ロボティア編集部2017年5月15日(月曜日)

 中国IT企業大手・テンセント(腾讯)の企業時価総額が、3000億ドルを突破。世界10大時価総額企業の仲間入りを果たした。メッセンジャーアプリ「微信(wechat=ウィチャット)」で名を馳せるテンセントは、モバイル決済サービス、モバイルゲーム市場などで高い実績を出し続けている。

 最近では、人工知能(AI)に投資を行う姿勢をさらに鮮明にしているようだ。去る5月2日には、米ワシントン州シアトルに新たな人工知能研究所を設立すると発表した。マイクロソフトの上級研究員出身Dong Yu氏が責任者として内定した同研究所では、音声認識や自然言語処理が主に研究される予定だ。

 なおテンセントは2016年に中国・深センに人工知能研究所を設立している。今回はそれに続き2番目の設立となる。とはいえ、テンセントはまだ、人工知能分野で大きな成果を生み出せずにいる。ライバルである百度が、画像認識や音声認識、自律走行車などで躍進しているのとは対照的だ。百度は今年のCESで、音声コマンドに応じて料理を注文したり、写真やビデオを表示してくれる家庭用ロボット「リトルフィッシュ(Little Fish)」の試作品を公開するなど、新しい分野でその成果を見せつけている。

 一方、テンセントの強みは、微信ユーザー8億8900万人から生まれる膨大なデータだ。それらが人工知能と上手く組み合わされば、強力な相乗効果が発揮されることは間違いない。中国のメッセンジャー市場では、微信は圧倒的な優位を誇る。人工知能との結合することで、巨大なO2Oサービスを展開できる可能性もある。そうなれば、中国に進出しているグローバル企業の微信への依存度は、さらに拡大すること必須となるだろう。

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