中国「人工知能×ヘルスケア・医療」産業概要と注目の42企業リスト【2017年版】

ロボティア編集部2017年8月24日(木曜日)

 中国で今、もっとも成長している分野のひとつが人工知能(AI)とヘルスケア・医療・介護を組み合わせた産業だ。中国語では「智能健康産業」「医療人工知能産業」と呼ぶが、2017年4月時点で100以上の企業が誕生しており、投資される額も莫大だ。資金調達に成功したと公表している未上場の24企業に融資された金額は22.3億元(約356億円)にのぼっているという(中国サイト「動脈網」調べ)。

 中国が抱える高齢化、都市部と内陸部の医療格差、慢性疾患・生活習慣病患者の急増に対し、中国政府はAIを中心としたテクノロジーで解決しようと試みており、こうした産業を強力に後押ししている。すでに中国政府は80以上の人工知能医療に関する法律を新たに施行させ、多くのルールを制定している。

 また、中国政府は2016年末に「中国健康2030」計画を発表したが、2020年に健康関連サービスの市場規模は10兆元(約160兆円)、2030年には16兆元(約256兆円)に達するといわれている。うち、人工知能や最新テクノロジーを駆使したサービスは20~30%ほどを占める。

 以下、中国の「AI×ヘルスケア・医療」産業は主に9つの領域に分類される。

①医療ビッグデータ
②医療画像診断
③ヘルスケアバイオテクノロジー
④バーチャルアシスタント
⑤日常ヘルスケア管理
⑥音声アシスタント
⑦DNAがん検査
⑧医療検索
⑨AIチップ

■本サイトは今回、中国の「AI×ヘルスケア・医療」企業42社をピックアップして独自にリサーチ。業務内容や創設者のプロフィール、企業WEBサイトなどを簡潔にまとめました。より詳細なデータもございますので、資料・調査をご希望の方はお問い合わせください。

(以下、企業リスト)

微泰医疗(微泰医療/MICROTECH MEDICAL
医療機器
 2011年1月、浙江省にて設立。医療機器の研究開発・生産・販売を行う。主に糖尿病患者に対する血統測定機器を開発している。社長の郑攀は浙江大学修士課程を修了後、フロリダ大学博士課程で工業機械について学んだ。

碳云智能(碳雲知能科技/iCarbonX
◆AI診断・医療データ解析
 2015年10月27日に深セン市で設立。人間の健康情報に関するビッグデータを有する企業でAI技術を使った健康管理について研究している。口腔・皮膚・尿・汗・血液などのビッグデータ解析を行い人間の健康管理について研究している。CEOの李英睿は1986年生まれで北京大学で生物科学を専攻。2016年の米フォーブス誌で、生命科学分野の権威ランキングにランクインしている。

百洋智能科技(百洋智能科技/BAHEAL Pharmaceutical Group
医薬品研究開発
 2005年に設立され、10のグループ企業を有する。医薬品を研究開発する企業で9000の病院と、750の薬局と取引を行っている。また近年はIBM社と共同で医療界におけるワトソン(質疑応答システム)を開発している。社長の付钢は、北京医科大学を卒業後し百洋医薬集団を設立した。現在、中国医師協会常任理事も務めている。

熙健信息技(熙健信息技術/mHealth
◆ヘルスケアアプリ開発
 2013年4月に南京で設立され、主に心電図機器に関する製品の研究開発を行っている。また心電図データを患者と医師の間で共有するためのスマホアプリ「掌上心電」を開発し提供している。これにより患者はスマホを使って自らの心電図データを医師に送信することができるようになる。CEOは王長津。

天智航医科技(天智航医療科技/TINAVI
◆医療用ロボット
 AI技術を使った医療用ロボットの研究開発を行っている。また、AIを使った各医療機関での病室数把握や遠隔での医療サービス提供についても研究開発を行っている。CEOは、张送根で専門学校を卒業後、旧ソビエト連邦に留学しインターネット技術を学んだ。中国に帰国後は超音波機器の研究を開発していた。

推想科技(推想科技/inferVISION
◆画像解析
 人工知能を使った医学画像解析を研究開発している企業。人間の脳や神経間のネットワーク信号をAI技術を使って分析している。CEOは深セン出身の陳寛で中学を卒業後、シンガポールの高校に進学、その後アメリカシカゴ大学に進学し経済と金融の博士号を取得した。大学時代にはノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン氏に師事。

上海帝林生物科技研(上海帝林生物科技研発/C-DOCTOR
◆ヘルスケアアプリ開発
 インターネットを利用した医療診断サービスを研究する企業で、診断にはAI技術を用いてサービス提供をしている。アプリ「如医医生(C-DOCTOR)」を提供。

倍泰健康(倍泰健康/BELTER
◆医療機器・医療データ解析
 2008年10月、深セン市で設立。AI技術による健康管理技術を開発・提供する企業。自動診断によって得られたデータをAIによってさらに自動分析する装置を提供している。清華大学と共同研究も進めており、健康実験室を設立した。

易特科(易特科/E-TECHCO
◆医療機器・医療データ解析
 2003年8月、深セン市で設立。インターネット・医療・健康・高齢治療の分野に関する医療データ化、健康管理、慢性病予防を研究し医療機関にCISシステム・EMRシステムを提供している。創設者の張貫京は清華大学を卒業後、中信集団(CITIC)に入社、幹部を歴任後、同社を設立。

思派网(思派網絡/MEDBANKS
AI診断・医療データ解析
 腫瘍の早期発見に関する研究をしている企業で、腫瘍に関するビッグデータとAIを使った自動診断を提供している。医師の日々の膨大な外来診断にAI診断を入れることで医師の仕事効率を引き上げることを目的としている。

雅森科技(雅森科技/QED Technique
◆AI診断・医療データ解析
 2006年、北京市で設立。AIを使った医療画像診断を研究する企業。脳・甲状腺・心臓・肺・腎臓・骨の医療画像を3D画像でAI診断を行う最新医療技術を提唱。

爱闪拍(上海)科技有限公司(愛閃拍科技有限公司/VISCOVERY
◆ヘルスケアアプリ開発
 2013年1月、上海市で設立。同社のViscoveryは、AI技術を使った写真データ・動画データの識別システムを開発している。Google社からは最先端技術を開発した企業として表彰もされている。今後は、この映像システムを医療分野にも提供していく予定。

善行医(善行医療/benefm
◆医療機器開発
 2015年3月、深セン市で設立。AI医療をテーマに医療機器、診断サービスを各医療機関に提供している。具体的な詳細は不明。

科技(祈飛科技/QIFEI
◆医療用ロボット
 2005年、深セン市で設立。AI技術を導入した人型医療用ロボットを開発。ロボットが医師に代わり、画像診断・多次元感知システムサービスを提供。現在は医療だけに限らず、AIを使った無人自動車運転技術を開発中。創業者は阮仕涛(詳細情報不明)。

南京必拓科技(南京必拓獅網科技/英語社名不明)
ヘルスケアアプリ開発
 2012年7月、南京で設立。同社が開発したスマホ用のアプリケーション「糖析」はAI技術を用いて、糖分の入った飲料物の糖分含有量を調べることができる。糖尿病予防のために開発された。CEOは司馬華鵬。

成都西禾智能科技(成都西禾智能科技/Chengdu XIHE Intelligent Technology
ヘルスケアアプリ開発
 主に乳幼児の健康管理のために開発したスマホアプリ「博士妈咪(DoctorMommy)」を開発。同アプリは乳幼児の食事・睡眠・排泄・体重・身長などを記録した上で、AI技術を通し異常な値が見つかった場合、すぐに警告してくれる。WEBサイト不明

勤成信息科技(勤成信息科技/Shandong qincheng information Technology co
AI診断・ヘルスケアアプリ開発
 山東省済南市にて設立(設立年月日不明)。AI技術を使った自動医療診断を実現。アプリケーションを使うことで診断から対処法までAIが指示する。診断で異常があった場合は、アプリケーションに登録してあるホームドクターに自動で連絡がいくシステムとなっている。

蕙泉健康(蕙泉健康/WITSPRING
◆ヘルスケアアプリ開発
 2014年7月、杭州市で設立。アプリケーション「半个医生」を開発した。同アプリでは、膨大な医療データとAI技術を合わせたAI医療診断を実現。AI問診・分析を行うことができる。会社の法定代理人は王超。

斯克科技(馬斯克科技/MUSK
ヘルスケアアプリ開発
 北京で創業された同社は「AI介護」「ビッグデータ解析システム」「AIの人型ロボット」の3分野の研究開発を行っている。特に同社が開発した「Candy Care」は、スマホアプリと製品をBluetoothで接続し、乳幼児の健康診断を常に行うことが可能に。乳幼児に起こる「乳幼児突然死症候群(SIDS)」の発生確率を大幅に減少させることに成功している。

万象大千(万象大千/英語社名不明)
◆医療データ解析
 AIを用いて医療診断、適切な薬の処方、医療保険の紹介などを一括して行える「Alpha Health(健康諾)」を開発し、すでに中国だけでなくアメリカなどでも提供が開始されている。創業者は龔健(詳細情報は不明)。WEBサイト不明

捷艾米(華捷艾米/IMI
◆医療機器開発
 2014年12月、北京市で設立。3Dチップや3D体感機器・コントローラーなどを開発。医療やゲーム、セキュリティー防犯などの分野に提供している。AR関連も手がける。

妙手机器人(妙手機器人/SMAROBOT
◆医療用ロボット
 2012年に広東省珠海市で設立。人工知能を搭載したロボットを研究開発する企業。その領域は「工業用ロボット」「サービス案内ロボット」「医療用ロボット」「飛行型ロボット」「自動運転システム」など多岐に渡る。医療用ロボットはすでに数種類の手術ロボットを製品化

尤斯比利(優斯比利/UTCNC
◆医療用ロボット
 2006年、北京市で設立。6本腕の人型ロボットが主力製品で、これを歯科治療の分野に導入を進めるため、研究が行われている。CEOは劉大鵬(詳細情報不明)。

芝麻开花医(芝麻開花医療/Open Sesame
◆ヘルスケアアプリ開発・医療機器開発
 2015年、上海市で設立。スマホのアプリケーションとAIを組み合わせ、乳幼児にシールタイプのセンサーを貼って体調・健康管理をするシステムを提供。遠隔地からの医療診断や個人の既往歴を含む身体の情報記憶などを行う医療サービスも行っている。

机器人(博為医療機器人/BROADCARE ROBOT
◆医療用ロボット
 2015年11月27日、深セン市で設立。AI技術を搭載した医療用機械を研究開発している。医師や看護師とコミュニケーションがとれる端末はすでに中国の病院で使用されている。この他、「静脈薬物配置ロボット」や「看護師ロボット」も生産し医療機関で導入が進んでいる。

图鳞科技(図鱗科技/TUNICORN TECHNOLOGY
◆画像解析
 2014年6月、上海市で設立。AIを使った画像認識技術を開発・提供している。インターネット上や動画映像の中から、指定の画像などを自動検索できるシステム。今後、この画像認識技術を医療分野でも生かすため研究が行われている。CEOは魏京京(詳細情報不明)。

医慧影(匯医慧影/HY
◆医療データ解析・医療機器開発
 2015年4月、北京市で設立。AI技術とビッグデータを使い、腫瘍・心血管・急性腹症の診断を研究開発する企業。これまで400以上の医療機関に導入実績を誇る。インテル、チャイナモバイル、チャイナテレコムなどと戦略的技術提携を行い、さらなる技術革新を求めている。CEOの柴象飛は、オランダのアムステルダム大学で生物・医薬・医学画像について学び博士号を取得。5年間海外で仕事をしたのち起業。

图玛(図瑪深維/12Sigma TECHNOLOGIES
◆画像解析・医療データ解析
 2016年6月、蘇州で設立。AI技術を駆使した医学診断を研究開発する企業。医学画像診断・病理画像分析・DNAの序列異常検出などをAIで行う。これにより医師により誤診を事前に防止し、診断コストを削減するだけでなく治療法などについても進言を行うことができるという。創業者の钟昕は、清華大学で生物医学を専攻後、アメリカミシガン大学に留学し生物医学と電子工学分野で修士号を取得し、起業。

亿智能(森億智能/Synyi
◆医療データ解析
 膨大な医学症例をAIに記憶・学習させる技術を開発。これにより、通常の医師の2700倍の速さで病状の分析・解析・解決法を導けるようになると言われている。このAIに学習させた医学症例情報のビッグデータはすでに復旦大学医学部など中国の4つの総合病院に導入が進んでいる。CEOは張少典(詳細情報不明)。

Deep Care(中国社名・漢字表記不明)
医療データ解析
 AI技術を金融・電子商取引(消費)・医療の分野で活用する研究を行っている。特に医学症例に関するビッグデータを自動解析することで、これまで予知し難かった病状の早期発見や誤診の確立を大幅に減少させることに成功している。中国国内では清華大学・復旦大学と学術提携するほか、海外ではスタンフォード大学などとも共同で研究を行っている。創業者の劉聖はカリフォルニア大学バークレー校で土木工学の修士号を取得しその後、起業。

北京长远佳信息科技(北京長遠佳信息科技/One Plus Medical Service Cloud
医療データ解析・ヘルスケアアプリ開発
 ソフトウェア「医衆影像」を提供する企業。同ソフトはAI技術で医学画像を自動学習をさせ、その情報をクラウド化して医療機関に提供している。また、患者用にスマホ専用のアプリケーションを提供しており、診断サービスも行っている。

肽积木(積木/ALPHA-BRICK
◆画像解析・医療データ解析
 北京市で設立。AI技術による画像診断を研究開発している。特に、眼底や血管血栓に関する分野では95%以上の正確な診断結果を下せるようになっている。CEOの柏文洁で大学卒業後、アクセンチュアに入社し経営コンサルタント業を行っていた。

(久楽/JIULE
医療データ解析・ヘルスケアアプリ開発
 2012年1月、武漢市で設立。AI技術を使って集めたビッグデータ解析から、腕時計型身体体体調管理機を開発販売している。これにより、血中酸素濃度を24時間調べ異常がある場合は利用者に警告メッセージを送ってくれる。スマートフォンとの同期も可能。CEOは趙向東。

新云医(新雲医療/New Cloud Medical
医療データ解析・ヘルスケアアプリ開発
 2016年6月に北京市で設立。人間の慢性的な痛みについて研究している企業で医療情報を集めたビッグデータ解析から、スマホアプリを通し患者の食生活・運動管理を行い、慢性的痛みの減少を実現している。CEOは趙雲。

尚戴健康(尚載健康/Amesante
ヘルスケアアプリ開発
 2013年5月、上海市で設立。AI技術を使った健康管理システムを提供。スマートフォンのアプリから常に自分の体重・血圧・血糖値・歩数が確認できる。このほかにも、慢性病を患う患者や妊婦の健康管理のためのアプリケーションを提供している。CEOの李軍は、上海同済大学で情報工学を専攻。卒業後、国費留学生としてフランスに留学し情報工学や画像処理などを学び起業。

微瞰智能(微瞰智能/awkint
医療データ解析
 2016年10月、上海市で設立。AI技術と医療ビッグデータを用いて、医療診断サービスを医療機関に提供している。低コストで正確な医療診断を行うことを目標としている。CEOの李冠男は英ウォーリック大学でコンピュータ学を専攻し、卒業後に起業。

科技(諦達諾科技/DIDANO
ヘルスケアアプリ開発
 2015年11月、四川省で設立。乳幼児や児童など子供向けの健康管理システムを提供している。AIを用いた同システムを学校や家庭でも使用できるよう普及を進めている。

申医(貝申医療技術bbscan
ヘルスケアアプリ開発
 2015年2月に深セン市で設立。主に新生児の黄疸症状をAIを使い、早期発見するアプリケーション「哪咤保貝」を開発している。

界智能(辺界智能/Bian Jie
◆医療機器
 2016年12月、上海市で設立。AI技術を使った病院業務の情報処理を行うシステムを開発した。病院の事務処理のスピードをアップさせ、医薬品の処方の支持もAIが行うことで人件費のコストカットが期待できる。CEOは曹恒。WEBサイト不明

北京宝科技(北京宝護科技/Beijing Bao Hu
ヘルスケアアプリ開発
 2014年9月、北京市に設立。同社が開発したウェアラブル端末の乳幼児向けAI体温計「宝護圏」は24時間、体温を記録し異常値を記録した場合、すぐに保護者に音と振動で異常を知らせるアプリ。創業者は陳海亮。

元气堂子科技(元気堂電子科技/英語社名不明)
ヘルスケアアプリ開発
 2013年5月、広州市で設立。同社が発売しているスマホアプリ「e護士」は、人間の血圧・血糖値・体脂肪・歩数を管理することができる。

天地弘科技(天地弘穀科技/XIAO HE
ヘルスケアアプリ開発
 高齢者向けのウェアラブルデバイス・アプリ「小和(xiaohe)」を開発。日々の生活リズム、日常の行動、睡眠、排泄などのデータを管理。クラウド化することで健康管理を行うことができる。本社は北京市にある。

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