医療・ヘルスケア分野に人工知能(AI)技術が適用されることにより、きたる2021年までに約520億ドルのコスト削減が可能との予測が示された。
市場調査およびコンサルティング企業・ABIリサーチが発表したレポート「Artificial Intelligence in Smart Healthcare」によれば、現在開発中であるコンセプト実証段階(PoCs)にある人工知能技術が商用化されれば、より品質が良好な医薬品の生産、医師の診療時間の短縮、死亡件数の減少など、さまざまな効果が期待できると予測されている。
より多くのデバイスが、人工知能をベースとした予測分析モデルに接続されることにより、2021年までに520億ドルのコストを削減することができるようになる。なかでも北米が人工知能医療・ヘルスケア市場をリードし、210億ドルのコスト削減を達成できるとされている。
ABIリサーチによれば、イスラエルと米国の病院ではすでに、人工知能ベースの予測分析技術が導入・運用されているという。 2017年の段階で、病気の予測分析のためのAI学習用モニタリングデバイスの数は5万3000台だが、きたる2021年までに年平均176%増の310万台に達すると予想されている。今後普及するAIソリューションには、患者を見守るための「予測分析技術」、「臨床試験対象患者の発見」、電子カルテのための「書き込み自動化技術」などを含む。
メーカーの状況としては、EarlySenseが人工知能ベースの予測分析技術を開発。ベッドの下に非接触センサーを設置し患者の状態をモニタリングしている。また同社は、臨床試験対象患者の発見およびマッチングを担うAIソリューションである「ディープ6」も発表している。自然言語処理技術を採用し、医療関連レポート、自由形式のテキスト、電子カルテの完璧なスキャンも可能としている。
LexiconAIは、音声制御形式の医療記録ソフトウェアを発表した。これは電子カルテを記録する時間を大幅に削減。 1人当たり年間5000ドルのコストを削減できると試算されている。
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