デンマークの銀行がAI詐欺検出プラットフォーム導入…誤認識を半分に減らす

ロボティア編集部2017年10月25日(水曜日)

デンマーク最大の銀行・ダンスケ銀行(Danske Bank)は10月25日、韓国・テラデータ(Teradata)と協力し、AIをベースとした「詐欺行為検出プラットフォーム」を設置すると発表した。

同プラットフォームのエンジンは、マシンラーニングを通じて数万個の潜在的な特徴を分析。また数百万件のオンラインバンキング取引をリアルタイムで「スコア化」し、不正行為を監視する。ダンスケ銀行はこれまで、誤検知(False Positives=詐欺ではないのに詐欺と誤認される現象)に悩まされてきたが、同エンジン導入により調査コストを大幅に削減することに成功。全体的な作業効率性が高まったとしている。

ダンスケ銀行の高級分析括的Nadeem Gulzar氏は、「デジタルバンキングやモバイルバンキングアプリケーションが拡散することで、長期的には詐欺行為がさらに悪化していくと認識している。犯罪者に対抗するためには、最先端の技術を採用する必要がある。私たちはAIを通じて、すでに誤認識を50%削減した。(結果)詐欺検出チームの半分の人員に、より高い価値がある任務を割り当てることができた」と述べている。

テラデータのシンクビッグ・アナリティックス(Think Big Analytics)チームは、2016年下半期からダンスケ銀行と協力を開始。共同チームは、同銀行の既存のインフラ内にフレームワークを構築した後、年間数百万件、ピーク時間帯には、毎分、数十万件を超える取引の際に行われる詐欺を検出する、高度なマシンラーニングモデルを開発した。また透明性を確保し信頼性を高めるために、マシンラーニングモデルの上部に「解釈層(interpretation layer)」を含んだ。同レイヤーは、取引を遮断する際の説明・解釈を提供する。

興味深いのは、モデリングの観点から言えば、「詐欺」の事例は極めて稀だという点。その数は、10万件あたり1件という割合だ。チームは、このモデルにおける誤認を50%まで削減し、実際の検出率を約60%まで引き上げ、詐欺行為をより効率的に摘発できるようにした。

ダンスケ銀行の詐欺防止プログラムは、マシンラーニングの手法を現場に適用した稀有な事例となる。今後、金融分野におけるAIを使った詐欺行為の摘発、および誤認識の削減事例は、他企業においても後に続くのだろうか。技術の発展に注目だ。

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