独・韓・南アの研究チームが「量子AI」の開発に成功と発表

ロボティア編集部2020年7月7日(火曜日)

ドイツ、韓国、南アフリカ共和国の共同研究グループが、既存の人工知能(AI)を超える量子AIアルゴリズムの開発に成功したと発表した。

既存のAIは、データを0と1で表現するビット(bit)方式の古典コンピュータをベースに動作する。一方、量子AIは0と1を「重ね合わせ」て表現できるキュービット(qubit=量子ビット)という情報単位を処理できるAIコンピュータをベースにしており計算速度が前者に比べてはるかに速い。ただ、AIコンピュータは1次方程式をよく解くことができる「線形性」を持っており、複雑なデータを扱う非線形的機械学習(マシンラーニング)において限界を露呈した。

研究チームは限界を克服するために、複雑なデータを扱う計算をうまく解くことができる非線形カーネル(kernel=機械学習でデータ間の類似性を定量化するための関数)を考案した。チームが開発した量子教師あり学習アルゴリズムは非常に少ない計算量でも複雑な演算を行うことができ、大規模な計算量が必須となってきた既存のAI技術を追い越すことができる道を拓いたと説明されている。開発されたアルゴリズムは、AIの学習データとテストデータを量子情報として生成した後、それらを並列演算できる量子フォーキング技術などが適用されたという。

研究論文はネイチャーの姉妹誌「npj Quantum Information」の5月版6巻に掲載された。論文名は「Quantum classifier with tailored quantum kernel」だ。論文の共同第1著者であるKAISTのパク・ギョンドク教授は、「研究チームが開発した量子機械学習アルゴリズムは、数年以内に商用化されると予測されている数百キュービットのNISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum)コンピューティングの時代になれば、古典的なカーネルベースの教師あり学習を超えるだろう」とし「複雑な非線形データのパターン認識の代わりに活発に使用されるだろう」と予想している。

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