韓国・延世大学およびKAISTの共同研究チームが、一人暮らしの若者の社会的なつながりを支援するソーシャルネットワーキングロボット「フリボ(Fribo)」を開発した。
HCI、BMIなどの分野を研究する9人の研究者たちは、先月、ACM / IEEE主催の第13回年次会議(HRI 2018)で、同ロボットに関する論文「Fribo: A Social Networking Robot for Increasing Social Connectedness Through Sharing Daily Home Activities from Living Noise Data」を発表し、優秀論文賞を受賞している。
フリボは、独身の若者を支援するためのソーシャルネットワーキングロボットだ。一見、黒猫デザインのシンプルな卓上型ロボットに見えるが、従来のソーシャルロボットとは異なるコンセプトを持っている。それはロボットユーザー(=フリボユーザー)同士の、ネットワーキングや、相互作用を支援するというものだ。
フリボは、玄関やドアの開閉音、冷蔵庫の開閉音、洗濯機、掃除機が動く音など、生活の中で発生する“騒音”にフォーカスをあてる。超音波センサー、温度、湿度、光センサーなどが備わっており、人が「家にいるかどうか」「外出したのかどうか」を把握する。騒音を認識すると、他のフリボ端末に通知したり、友人グループを形成しているネットワーク全体に知らせるという仕組みだ。
フリボは、カカオトークなどメッセンジャーアプリ、SNSとも連動する。例えば、ユーザーのひとりが帰宅してドアを開けて家に入ると、プリボがそれを認識して、ユーザーが互いにカカオトークで状況を確認できるといった具合だ。また、洗濯機や電子レンジを使うとプリボが状況を認識して通知。友人間で「どのような料理をつくっているのか」など、会話=コミュニケーションを生むことを誘導する。
なお、フリボは可能な限りプライバシー守る仕組みを持つとも海外メディアによって紹介されている。仮にフリボを通じてネットワーク上に通知が送られても、匿名性が担保される。最初の段階では、誰から、また誰に通知が来たのか分からない。ただ、他人の関心を誘導するだけだ。その後、誰かとコミュニケーションを取りたい人同士が、互いについて知る機会を利用する。
韓国では、日本や欧米諸国同様に晩婚化や都市化が進んでおり、社会的な孤独状態に心身を苛まれる人が増え始めている。今回、研究チームの「ソーシャルロボット×コミュニケーション」というコンセプトが認められたのも、そのような社会的背景を汲み取ったという理由が大きいかもしれない。フリボは若者同士のネットワーキングを目標に掲げるが、独居老人が増えている高齢社会でも需要が多いはず。人間同士の出会いやコミュニケーションを楽にするロボット・フリボの成長が楽しみだ。
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