先日、公務員の近藤顕彦さんが初音ミクとの結婚を告白。有名情報番組のコメンテーターなどからは「理解できない」との声が相次いだが、人間とAIもしくはロボットとの婚約・結婚という現象は世界各地で報告され始めており、今回のケースが唯一無二というわけでは決してない。
中国の人工知能エンジニア・Zheng Jiajia氏(31歳・男性)は今年4月、自から開発したAIロボット「インイン」(Ying Ying)とパートナーとなる契りを交わした。インインは、簡単な文章であれば話すことができ、漢字や画像を認識することができる能力を持つ。Zheng氏は地元テレビ局に対し、妻に歩いたり、家事をする能力を与えるため、アップグレードを施していく計画だと語っている。なお非公式に行われたふたりの結婚式には、母親と友人らが出席。インインは中国伝統の赤いスカーフなどを身にまとった。
フランスにも、ロボットと婚約した女性がいる。2016年、リリーさんは3Dプリンターで自作したロボット・Immovatorと婚約していると報告した。リリーさんは当時、自分のセクシャリティについて「ロボセクシャル」だと言及。フランスで人間とロボットの結婚が合法化されればすぐにでも結婚すると意思を明らかにしている。
なお学界では、人間とロボットの結婚が将来的に認められていくだろうとも予想している。
人工知能の専門家であるDavid Levy氏は、2016年に英ロンドン・ゴールドスミス大学で開催された「ロボットとの愛と性」というカンファレンスで、ロボットを配偶者に選択するのは抗えない時代の流れであり、人間とロボットの結婚も2050年頃までに合法化されるだろうと主張した。シンガポールの複合現実感研究所でディレクターを務めるAdrian Cheok氏も、米メディアの取材に対し、「人間とロボットの結婚なぞとんでもないと思うかもしれないが、35年前には同性愛者の結婚も同じように考えられていた」とLevy氏の意見に同調する。ヒューマノイドロボット「ソフィア」の開発者でもあるDavid Hanso氏も、2045年頃までに人間とロボットが結婚することがありえると指摘している。
人間とロボットの結婚の実現に対して、ネガティブな意見もある。スイスで機械倫理を研究するOliver Bendel教授は、結婚は人間の契約であり、相互間の権利と義務を規制するものとし、ロボットが人間と同様の義務と権利を持つことになるとは思わないとしている。
人間とロボットがパートナーとして真に結ばれる日、またそれを社会が認める日は訪れるのだろうか。
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