選択中心からレコメンド中心の消費行動が拡大...影響力増すAIアルゴリズム

ロボティア編集部
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Photo by Letizia Bordoni on Unsplash

個人の選択が、AIの意思によって“代替”される世界が着々と広がっている。EC大手・アマゾンが運営する「Amazon.com」では、収益のうち35%が協調フィルタリングによって生まれるとされている。協調フィルタリングとは、多くのユーザーの趣味・嗜好と関連した情報を蓄積・使用し、対象となるユーザーの趣味・嗜好を自動的に推論する技術だ。

最近、YouTubeのCPO(チーフ・プロダクティブ・オフィサー)であるNeal Mohan氏も、「YouTube利用者の視聴時間の70%が、推薦アルゴリズムによって生じる」と、米メディアの取材に答えている。

初期の人工知能は、「ルール」(Rule)によってレコメンドをおこなっていた。例えば、機械が勝手に判断するのではなく、「すべての人がAという音楽を聴く」、もしくは「男性はDという食品を好む」というような関連性(=ルール)を人間がプログラミングしていた。このステップのAIアルゴリズムは、個人的な嗜好・性向を反映せず、レコメンドシステムは非効率的かつ維持管理にも困難があったという。

しかし、同じような傾向のユーザーを結びつける協調フィルタリングを利用したレコメンドが普及し始めると、AIレコメンドアルゴリズムの影響力が少しずつ大きくなっていく。

協調フィルタリングを使ったレコメンドアルゴリズムは、ECなどの領域などで広がりをみせる。例えばあるレコメンドアルゴリズムは、サイト流入・移動経路、離脱兆候などユーザーの行動を追跡。データを収集する。同時に収集された行動データと関心がある商品データをAIアルゴリズムが分析し、好みの類似や商品類似度を算出する。さらにウェブサイト内においてリアルタイムに発生する購買データ分析を加え、ターゲットとなる利用者の購入可能性が最も高い商品をレコメンドする。

協調フィルタリングは、音楽、映画、漫画のための「コンテンツベースドフィルタリング」(Contents Based Filtering)技術に進化した。これは、特定の歌手の音楽が好きな人にその歌手と同じような雰囲気を持った歌手を推薦したり、サッカーのニュースが好きな人にワールドカップのニュースをレコメンドするといった技術だ

漫画では最初のエピソードの閲覧時間や持続閲覧率、音楽では曲をスキップする比率や推薦を通じて消費されるコンンテンツの数などがデータとして収集されたりする。

昨今では、機械学習やディープラーニング(深化学習)を使った、パーソナライズされたレコメンドアルゴリズムに発展している。AIがユーザー個人の嗜好だけでなく、コンテキスト(位置、時間帯、性別、年齢など)まで分析し、最適な商品やコンテンツをレコメンドする。

パーソナライズされたレコメンドAIは将来的に、「パーソナライズアバター」に発展するだろうと予測されている。音楽を聴いたり、映画を見ると、継続データが蓄積され、サイバー空間に自分の嗜好・思考・コンテキストがコピーされ、最適な解が常に提供されるというものだ。そこでは“AIの網の目”が、広告、購入、接続など、自身の行動を完全に把握して推薦する。広告効率も高く、企業にとっては売り上げを最大するためのツールとなる。

AIの影響力が高まるにつれ、人間の消費行動は選択によって成り立つという前提行動は瓦解し、機械による「レコメンド中心」の消費行動がより一般的になっていくのかもしれない。