韓国政府「筋力増強ウェアラブルロボット開発に30億円投資」

ロボティア編集部2016年2月3日(水曜日)

 韓国・防衛事業庁(Defense Acquisition Program Administration)は2月3日、戦争で任務を遂行する兵士の筋力を大幅に強化するためのウェアラブルロボットを、国民安全処(Ministry of Public Safety and Security)と共同で開発することにしたと明らかにした。
「ウェアラブル型筋力増強ロボット」という名の同ロボットは、兵士が着用すると手足の力が増し、重い重火器なども簡単に持ちあげたりすることができる。

 ウェアラブル型筋力増強ロボットとしては過去に、米国ロッキード・マーチン社が「ハルク」(HULC:Human Universal Load Carrier)という名の装置を発表したことがある。ハルクはもともとバークレー(Berkeley)大学バイオニクス研究室で開発され、ロッキード・マーチン社は独占生産権を保持している。兵士が最大90kgの装備を背負い、瞬間最高速度16km / hで移動することを目的として開発された。最大作戦半径は20kmで、動力源としてはリチウムポリマー電池、または燃料電池が使用されている。バッテリーを除いたロボットの総重量は24kgだ。

 一方、XOS2(XOS exoskeleton)も有名だ。2000年から米国防高等研究計画局(DARPA)の支援を受けたレイセオン(Raytheon)社のスティーブン・ジャコブセン(Steve Jacobsen)博士チームが2008年に開発した。XOS2の重量は68kg、可搬重量90kgで、内部に内燃機関が搭載されており使用可能時間は8時間だ。

 フランスでは、国防部と軍備調達機関である武装庁(DGA、Directorate General Armaments)が支援し、RB3Dが2011年にハークル(HERCULE)を開発した。可搬重量は約100kg、駆動気には電気モーターが使用され4kphの速度で最大20km移動が可能となっている。

 防衛事業庁と国民安全処は、今年から2020年までにかけて、ウェアラブル筋力増強ロボット開発事業に227億ウォン(約30億円)を投入する計画だ。防衛事業庁は、軍装備の重量がますます増す現実を考慮し、筋力増強ロボットを開発することにしたと明らかにしている。

 これまで、防衛事業庁と国民安全処は「危険地適応型下肢筋力反応制御技術」と「人命救命用消防隊員筋力支援装置」の研究・開発をそれぞれ独自に進めてきた。今回の省庁連携は、互いに保有している優れた技術を相互に組み合わたり、研究開発予算と期間を最小限に抑える意図がある。

 なお今後、防衛事業庁は「高機動下肢筋力増強ロボット」「高荷重・上下肢筋力増強ロボット」、「筋力増強ロボット用エネルギー源」を開発し、国民安全処は「人命救命用筋力サポートリフティング装置」、「災害現場任務遂行マニュアル」を作成し、双方を結合する方で開発が進められる。ウェアラブル筋力増強ロボットは民・軍兼用となり、火災および崩壊事故などの災害や人命救助活動、高重量物処理にも使われる予定である。

 防衛事業庁キム・イルドン企画課課長は「協力事業により、民・軍の多様な運用状況を考慮し、実用的な技術が開発されるだろう」としている。