「白犀牛」で検索すると、上記写真のような犀(種名Rhinocéros blanc)が出てくるが、これは北京で無人配送ロボットを手がけるベンチャー企業「白犀牛智达(北京)科技有限公司」の略称だ。高度な自動運転技術を持ち、上海松江の自動車実験特区や、大手ドラッグストアのオンライン販売プラットフォームと提携し、着々と事業基盤を構築しつつある。
北京白犀牛社は2019年4月設立。自動運転技術に重点的に投資するベンチャーキャピタル辰韬資本の投資を受けてスタート。検索エンジン大手のbaiduのエンジニア2名がスピンアウトして作った優れて技術オリエンテッドな会社だ。同社は年末までに一号機を開発し、大手スーパーチェーン店である永輝スーパーの配送を請け負う戦略パートナーシップを締結とスピーディに事業を構築して来た。
2020年には武漢で発生したコロナ感染症対策の支援として、白犀牛は病院内搬送ロボットを武漢の病院現場に投入。経営陣が自ら現地に乗り込む文字通り社運をかけてのプロジェクトとなったが、同社はこれで全国に名を馳せる事が出来た。(下写真は白犀牛のオフィシャルホームページより。中央電視台CCTV武漢放送の画面。)
2020年度には実際に公道を走らせる配送サービスを開始。生鮮食品や薬品などを短時間(30-60分)で周囲5キロのエリアに確実に届けることにこだわり、誰よりもはやくラストワンマイルの末端市場を獲得することを目指す戦略だ。テクノロジーに自信を持つ同社は商品の開発とビジネスモデルの確立に注力しており、ロボットの生産そのものは外部に委託しているという。先行者として市場プレゼンスをあげる事に何よりも注力していると思われる。
現在上海郊外で見かける白犀牛の無人配送車は上の写真のように専門スタッフがサポーターとしてついている。「これでは無人ではないじゃないか」と言いたくなるが、これは中国の交通法規上、完全な無人配送が許可されていないエリアが多い為、止むを得ないらしい。朱磊CEOはメディアのインタビューに答えて「5年以内に一般道で1日5000台稼働」を目指すと語っている。動物のサイは見かけによらず最高時速55kmで走るというが、北京白犀牛社も破竹の勢いでの成長を続けられるだろうか。