米連邦航空局、英企業の開発したドローン冷凍銃を導入か

ロボティア編集部2016年6月4日(土曜日)

 米連邦航空局(FAA)が、空港に接近する未確認ドローンを事前に感知・撃退する電子スキャンレーダー=冷凍銃をテストし、配置を控えているという。増加の一途をたどる、空港へのドローン接近の脅威に備えるための措置だ。

 FAAに導入されるドローン防御システム(Anti-UAV Defense System)は、略して「AUDS」を呼ばれる。イギリスのエンタープライズコントロールシステム(Enterprise Control Systems)、ブライターサーベイアランスシステム(Blighter Surveillance Systems)、チェスダイナミクス(Chess Dynamics)など3社が共同で開発した。

AUDS_ドローン冷凍銃
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 電子スキャンレーダーで10km圏内のドローンを検出する。熱探知カメラを使用し、夜間でもドローンの存在を検出することもできる。仮に危険なドローンの存在を感知した場合、高出力の電波を発しドローンの通信を防ぎ、空中で動作を停止させる。その一連の作業(検出、追跡、破壊)は非常に迅速で、通常8〜15秒で作業が終了する。

 AUDSは、リモート飛行機やドローンが、空港、原子力発電所、製油所などに接近することを防ぐために開発された。開発した3社は、「FAAのテストは、私たちのシステムが小型、およびより大きなドローンを撃退できることを証明した」と述べている。

AUDS_ドローン冷凍銃3
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 2015年3月、AUDSチームはすでに、カプチュー(Captieux)で行われたフランス政府のトライアルに参加しており、そこで様々なドローンに対して、検知および無効化が可能なことを証明してみせた。同システムはまた、スコットランドでウェスト・フレウ(west freugh)行われた、英国政府主催の対UAV試験でも成果を出した。

 AUDS開発チームはまた、気候や昼夜を区別しない複雑な環境で、400回以上、また400時間以上、ドローン防御テストを行った。FAAは今後、米国のいくつかの空港でAUDSを試験する計画だ。ただ、正確な空港名は明らかにされておらず、試験には米グリフォンセンサー(gryphonsensors)社、センサーフュージョン(sensor fusion)社も参加する予定だとされている。

 なお、ドローンが接近して危険が予想される場所は空港だけではない。2013年9月当時、ドイツではアンゲラ・メルケル(Angela Dorothea Merkel)首相のわずか数メートル付近までドローンが接近、墜落する事件が起きている。後に、反対陣営の政党が抗議のために飛ばしたことが発覚し大事にはいたらなかったが、テロリストが飛ばしていたものだとしたら、あわや大惨事という状況だった。

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 ドローン技術の開発が進み、普及が進めば進むほど、想定しうる危険な状況が増えてくる。今後、ドローンを検知・撃退する技術の開発にも、ますます拍車がかかると予想される。