ドローンと最新の画像処理技術で「トナカイの集団行動」解明…英研究チーム

ロボティア編集部2018年4月16日(月曜日)

これまで動物の群れの移動を研究する現場では、主にGPSや無線装置などが活用されてきた。動物の首や足にGPS端末を着用するなどが、その使用例だ。一方、英グラスゴー大学とサンタフェ研究所の科学者たちは、ドローンとコンピュータビジョンシステム(画像処理、画像認識)を活用して、トナカイなど動物の群れを研究する試みを始めている。研究チームによれば、新しい技術でトナカイなどを長期間にわたって観察した結果、これまでとは異なった動物の群れに対する捉え方が可能になったという。同研究結果は、英王立協会が発行する「Philosophical Transaction of the Royal Society B.」に寄せられた。

研究チームは、ドローンやコンピュータビジョンシステムを利用して、カナダ本土とビクトリア島を移動するトナカイの群れを観察。群れの中の対象や、他のトナカイの群れとの相互作用を調べた。これまで、GPS機器を利用した観察では、特定対象の移動については把握できたが、対象同士にどのような相互関係=社会関係があるかまでは明らかにできていなかった。

研究チームによれば、群れの中の各対象は、性別や年齢に応じて、社会性の面で様々な違いを見せるという。例えば、子牛は非常に社会的であるのに対し、大人の牛はより独立して行動する。一方、トナカイの場合、集団移住をする際に横を歩く仲間よりも、先を歩く仲間たちから影響を受けているということが明らかになった。これは、トナカイの群れに詳しいイヌイット族の知恵とも合致する。イヌイット族は、リーダーを形成するトナカイの小集団が、群れ全体の移動を導くという考えを持っている。

今回、ドローンや画像識別が可能なコンピュータビジョン技術が動物の生態調査に新たな成果をもたらし形となったが、ものごとを俯瞰的かつ全体的に見ることを可能にするテクノロジーには、まだまだ潜在的な使い道が数多く眠っていそうだ。

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