デドローン社がドローンの侵入を防ぐドローンパトロールシステムを開発

ロボティア編集部2016年4月25日(月曜日)

 刑務所への物資運搬(携帯電話、ドラック、ポルノビデオ、タバコ、銃、ナイフなどなど)、および刑務所施設の撮影を意図するドローンが発見、押収されるケースが増えている。ここ数年では、米国、英国、中国などの刑務所付近で、実際に物資を運搬した操縦者が摘発、もしくはドローンが怪しい動きをする事件が確認されている。

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 そんな、刑務所など特定施設に対するドローンの侵入を、対抗するドローンで防ごうという、いわゆる“ドローンパトロールシステム”を提供する企業が登場している。

 ドイツのカッセル、および米サンフランシスコに拠点を構えるデドローン(Dedrone)社は、刑務所近くの空域を守るためのソリューション「ドローントラッカー(Drone Tracker)」を提供している。なお、デドローンはCEOイェルク・ランプレヒト(Jörg Lamprecht)氏、インゴ・ゼーバッハ(Dr. Ingo Seebach)氏、ルネ・ゼーバー(Rene Seeber)氏らが共同で設立した。

デドローン_ドローンパトロールシステム
photo by dedrone

デドローン_ドローンパトロールシステム2
photo by dedrone

 同社が提供しているソリューションの基本は、刑務所など対象となる施設周辺に同社のドローンを複数配置させパトロールを遂行。侵入を試みる機体を発見した場合、ジャミングで撃墜するというものだ。それ以外にもレーザーを使った撃退や、ドローンの撮影を遮断・シャットアウトする技術、ドローンの侵入自体を防ぐジオフェンシング(Geo-Fencing)技術も提供している。

デドローン_ドローンパトロールシステム3
photo by dedrone

 なぜ、デドローン社はそのようなドローンパトロール技術を提供することになったのか。

 2013年9月当時、ドイツではアンゲラ・メルケル(Angela Dorothea Merkel)首相のわずか数メートルまでドローンが接近、墜落する事件が起きている。後に、反対陣営の政党が抗議のために飛ばしたことが発覚し大事にはいたらかったが、デドローン社の設立者たちはそのことに危機感を抱いたという。

「もし、ドローンが武装していたらどうなっていただろうか。当時、聴衆は笑っていたが、設立者たちは脅威に気づいた」(同社HP)

 それまでドイツでは5㎏未満の機体を飛ばすのには特別な許可はいらなかった。現在では首相府の半径5.5km内の飛行が法律で禁止されている。

 また、デドローン社は刑務所へのドローン侵入も危惧する。特に武器の流入については、警戒が必要だと説く。また欧州ではここ最近、ホームグロウン・テロが頻発しているため、同社はドローン警備システムの導入を積極に推奨する立場を取っているようである。テクノロジーの発展に新たな犯罪はつきもの。今後、ドローンを使った犯罪、そしてそれらに対する対抗策への注目も高まりそうである。

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