福建省・刑務所の近くでドローンが多数目撃...中国で初のケース

ロボティア編集部2016年4月25日(月曜日)

 中国南東部の刑務所集積地の周辺で、数多くのドローンが飛行しているのが確認されている。当局関係者は施設運営にとって「深刻な脅威」だとし、「地域の法執行担当部署に調査を開始するよう促す」とメディアに語った。

 海峡都市報(the Strait Metropolis Daily)は先日、機体が福建省福州近郊の刑務所宿舎、武装刑務官の住宅地、行政の建物などの上で、飛行および操作されていたのが発見されたと報じた。その怪しい飛行と関連し、中国・警察は動機や背景の調査を開始している。

 中国・検察庁関係者は「ドローンの操縦者は受刑者に危険物を提供したり、または施設内や刑務官の動画を撮影するつもりかもしれない。セキュリティ上の重大な脅威をもたらしている」と指摘。すでに、ドローンの出現を地元警察に報告するよう、刑務所側にアドバイスしたと福州の新聞社に語っている。

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 以前、アメリカでは、ジョージア州の州立刑務所でドローンが塀を飛び越えてモノを運び込む事件が発生している。当局は、森の陰から双眼鏡でドローンを確認しつつ、リモコンで操縦して、タバコなどを刑務所内へ送り込もうとしていた男女を逮捕した。また昨年8月には、米メリーランド州立刑務所にポルノやドラッグなどを運び込む計画を立てたとし、男性ふたりが逮捕されている。この事件では押収されたドローンが公開されている。

 加えてアメリカでは近年、刑務所内へスマホを「差し入れ」るケースが増えているという。その携帯を使って、マフィア幹部の受刑者が外部の配下に犯罪指示を出したり、受刑者同士が刑務所内で連絡を取り合い、一斉蜂起して所内を無秩序状態に陥れる事例が報告されている。

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photo by fox5dc.com

 英国でも米国同様、ドローンを使って受刑者に麻薬や銃、携帯電話を運搬していたことが発覚した。なお、メキシコの麻薬カルテルは飛行機の組立工場の工員を雇い、100キロもの麻薬を運べる大型のドローンを自作しているとも伝えられる。

 ただし、福州の件はドローンのメッカ・中国で報告された初のケースとなる。ドローンは、モノを運ぶ必要がある犯罪者にとって、リスクやコストが少ないお手軽な運搬手段となりうる。今後、各国とも本格的な対応を迫られそうだ。

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 日本では、ドローンが首相官邸屋上に墜落した事件を受け、法務省が2015年4月24日に、刑務所や少年院など全国の矯正施設に対し、敷地内や屋上に不審なものが落ちていないか、敷地の外に不審な操縦者がいないかなどについて、警備を強めるよう求める文書を送っている。

 法務省はドローンの悪用により、逃走用のロープや違法な薬物、たばこなどが不正に敷地内へ持ち込まれるような事態を想定。ドローンのカメラで受刑者が盗撮されることも懸念している。過去には、出所した受刑者が刑務所内で知り合った別の受刑者に、塀の外から携帯電話を投げ込んだ事例があるという。ただ、いまのところはドローンによる不正搬入は起きていない。