ドローンバスター、スカイセーフ...アンチドローンシステム続々

ロボティア編集部2016年6月12日(日曜日)

 英ロンドンのヒースロー空港で旅客機に激突したり、ホワイトハウスの敷地内に墜落したりと、ドローンの違法な飛行が増加している。

 そんな無断侵入や違法ドローンに対抗するため、世界ではさまざまなアンチドローンシステムが開発されている。先月中旬、アメリカのメリーランド州で開催された海軍協会海上航空宇宙展示会(Navy League Sea Air Space Exposition)に出展された「ドローンバスター(Dronebuster)」もそのひとつだ。

 ドローンバスターは非営利研究開発団体・バテル(Battelle)の研究者によって開発された。ライフル銃のような形をしていて、使い方は非常に簡単。標的に狙いを定めて、引き金を引くだけだ。

 注目されているのは、その「撃墜方法」。引き金をひくと、標的に対してWiFi や GPS 通信、さらにはGLONASS(ロシアの衛星測位システム)による自動誘導などを妨害する電波が発せられる。

 すると標的となったドローンは操作不能に。空中でフラフラとバランスを崩す。加えて、ドローンバスターは標的に対して、その場に「着陸」するように命じるという。つまり、違法性ドローンを「落下」させるのではなく、安全に「着陸」させることで撃墜するということだ。

 ドローンバスターの有効距離は約400m。起動時間は0.1秒以下という速さに加え、連続使用時間は5時間。すでにフィールドテストも済んでいる。

 アメリカ政府の関係者の中には、ドローンバスターの導入を検討する声が上がっているとの情報もある。しかし、妨害電波を発信する行為自体が違法になる可能性があるため、今後慎重な議論がなされる見通しだ。

スカイセーフ
photo by skysafe HP

 ドローンバスター以外にも、さまざまなアンチドローンデバイスが登場しており、ソフトウェアを使ってドローンを邪魔するカウンタードローンシステムもある。例えば、スカイセーフ(SkySafe)が開発した技術だ。設立者のひとりグラント・ジョーダン(Grant Jordan)氏はMITで学位を取得し、米空軍で4年間で活動していた。

 スカイセーフは正式に認可されていないドローンを感知して、ドローンの飛行機能を停止させる機能が搭載された防御システムだ。スマートフォンでスカイセーフを起動し、「DISABLE(無効化)」を選択するとドローンがフラフラと落下を始める。

 近年になって急速に増加した違法性ドローンに対する解決策として、ドローンバスターやスカイセーフといったアンチドローンシステムに対する期待が高まっている。アンチドローン関連市場は、2022年に世界で約11億ドルまで拡大すると予測されている。