飛行するドローンの特徴から、操縦者の位置を特定する技術の研究が進んでいる。
イスラエル・ベングリオン大学のソフトウェア情報システム工学科で主任研究員を務めるEliyahu Mashhadiら研究チームは、飛行&操縦に関するデータを使用してニューラルネットワークを学習させ、飛行するドローンから操縦者の位置を割り出すという新たなコンセプトの技術を開発している。シミュレーション環境という限定的な実験段階ではあるものの、その精度はおよそ73%に及んでいるという。
ドローンは世界が注目する先端テックだが、セキュリティ上の懸念はまだまだ払拭されておらず、実用化の妨げになっている。各国では所有者の登録、重量制限などあらゆる規制が行われているが、それにもかかわらず米国では2020年の第1四半期中だけで、約370件ものドローン関連事件が発生したという。
一般的な商用ドローンであっても、人々の治安や安全を脅かすことができる。ハッキングやサイバー攻撃の脅威もまったく解消されていない。そんななか、操縦者の位置を高精度で特定できる技術の確立は、非常に有意義だというのがベングリオン大学側の説明である。少なくとも、自己の位置を特定された悪意ある操縦者が、二回目の攻撃を行うことを高確率で防ぐことが可能になるからだ。
ドローンオペレータ(操縦者)の位置を把握しようとする技術的努力は、以前から存在した。例えば、リモートコントロールの無線周波数を利用する試みが多かったが、それらはあまり成功しなかった。そこでベングリオン大学の研究者は、ドローンの移動経路、飛行速度、攻撃の意思(積極的な動きか、防御的な動きかなど)をニューラルネットワークで分析する新たな方法論を提示した。
ベングリオン大学側は「ドローンの“yaw”を観測することが重要だ」とレポートで説明した。“yaw”はドローンのz軸方向の回転を指し、垂直上昇・下降を意味する。今後、飛行データのサンプリング収集および学習が進めば、発見システムの精度はより高まるものと期待される。
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