米連邦航空局(FAA)が産業用ドローンの夜間飛行を初めて承認した。今後、ドローンが使用される時間的制約が緩和され、活用度も高くなるものと見られている。
4月20日、FAAはカナダ・インダストリアルスカイワークス(industrial skyworks)の米国法人に、ビルおよび屋根の点検ために夜間飛行を許可した。ウォールストリートジャーナルなど、各メディアが報じた。米国初となる、ドローンの夜間飛行を許可されたインダストリアルスカイワークスの代理人を務めるケネス・クイン(Kenneth Quinn)氏は言う。なお、インダストリアルスカイワークスはビルや電線の点検、採掘作業などにドローンおよびソリューションを提供する企業だ。
「FAAは歴史的な決断をした。(中略)夜間飛行の認可を得ることは簡単なことではなかった。インダストリアルスカイワークスに認可を与えるために、FAAは16カ月間、細部に渡って安全性評価を実施した(中略)FAAはインダストリアルスカイワークスに困難な課題を与えはしたが、それらはドローンの夜間飛行を安全かつ確実にすることを促すだろう」
FAAは夜間のオペレーションについて、インダストリアルスカイワークスにいくつかの実施項目を要求した。
まず、特別な訓練を受けたパイロットが操縦しなければならず、またパイロットが目視できる範囲内でのみ飛行が許可される。また、有人航空機が5000フィート以上でドローンの機体を認知できるよう、衝突防止用の照明を装着しなければならない。加えてオペレーション数日前にはFAAに報告しなければならない。
また、ドローンには正確な位置と高度情報をパイロットに自動的に送信する装置の設置が義務付けられた。もし技術的な欠陥が見つかった際は、すぐドローンを地上に帰還させる必要もある。
与えられた条件が厳しいものの、ドローンの夜間飛行が初めて承認されたということで、米ドローン業界は強く鼓舞されているという。これまでFAAは、日没後のドローン飛行については、追加のテストと分析を経て正式に規定を作成するまで許可しない立場だった。しかし今回の承認で、規制が大幅に緩和されるだろうという期待感が高まっている。
(文 shinji ikematu)