中国軍から産業用ドローンの運航を始めて許可された宅配会社SFエクスプレス(順豊速運)が、中国東南部地域でドローン配送を試験的に行う計画だと各メディアが報じた。
「中国のフェデックス」と呼ばれるSFエクスプレスは空域(airspace)運航の承認を受けた後、先月29日にドローンを使って空域で荷物をテスト的に配送した。航空機の活動空間である空域については、軍が厳しく管理している。
SFエクスプレスが正式に許諾を受けたことについて、中国メディアはドローン配達競争でライバル関係になる京東(JD)より有利になったと伝えている。なおSFエクスプレスがドローン配送の認可を受けたというニュースを受け、先月30日の同社株価は5%急騰したという。
専門家たちは今回の件について、中国政府がドローン配送業者に空域を使わせる意思があると読み取れると説明している。ちなみに市場調査会社アイ・メディア・リサーチ幹部も、「ドローン配送の最大の問題は、空域統制」としている。
中国でドローン配送の先頭にいる企業は、上記の通り、SFエクスプレスと京東だ。
両企業は、インフラ開発が脆弱な農村地域にサービスを提供できるドローンを開発している。SFエクスプレスは、江西省カン州市の南康地域でドローン配送を行うため、地方政府とともに免許を申請。軍の承認を受けた。カン州市は面積の76%が森林で、83%が山岳地帯である。
SFエクスプレスのドローンは、5~25㎏の荷物を載せて15~100㎞で飛行することができる。同社はドローン技術を2012年から研究し始め、151個の関連特許を取得した。
京東も2016年から試験的にドローン配送を行っているが、軍にドローン運航の承認を受けられずにいる。そのためドローンを飛ばすたびに、軍管制部門への飛行計画提出が必要だ。
なお京東はSFエクスプレスに似たドローンモデルがあるが、約1tまで積むことができるドローンで、山地の作物を都市に運ぶ独自の計画も持っている。北京郊外と、山が多く、人里離れた四川省と江蘇、陝西省で60台のドローンをテスト運用中とのこと。
SFエクスプレスは3月に迂回上場した深セン証券市場で時価総額1位の企業となり、同企業の創業者・王衛氏(上海生まれの香港人)は中国で3番目の資産家となった。
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