米海兵隊が、物資の遠距離配送を行うため“使い捨てドローン”を開発した。
米海兵隊傘下の「戦闘研究所(Warfighting Laboratory)」は今月初め、メリーランド州ナショナルハーバーで開かれた「Sea Air Space 2017」の展示会で、グライダー形態のドローン「TACAD(TACtical Air Delivery)」の試作品を披露した。
TACADのペイロード(最大積載量)は317kg。数十マイルの距離を自律飛行することができる。またTACADは機体を折り畳むことができるタイプのドローンであり、飛行機に複数台を載せておくことができる。
TACADの内部にはGPSが搭載されていて、機体着陸後は回収されずにそのまま放置される。製作費用は1500〜3000ドル。戦闘を行う海兵隊員たちに食料、水、電池、燃料などの補給品を安全に輸送するために用いられる。
米軍は昨年、ドレイパー研究所(Draper Laboratory)が開発した、ナビゲーションソフトウェア搭載パラシュート「JPADS(Joint Precision Airdrop System)」をテストしている。同システムは、GPSの代わりにビジョンシステムを活用する。パラシュート型の配送システムに搭載されたカメラが、空中で周辺を撮影。地形データベースと衛星撮影映像DBと比較し、正確な配送場所を探しだす。最大積載容量は4500kgだ。
今回披露されたTACADには、JPADSに比べていくつかの利点がある。 JPADSは補給品を届けるエリアまで航空機で移動する必要がある。当然、戦地においては危険にさらされる可能性が高まる。一方、TACADは安全地域からドローンを発射・移動させることができる。ドローン自体の移動距離は48km~112kmだ。加えてTACADは、JPADSに比べて低コストで製作が可能とされている。
TACADは、緊急災害救援活動など民間用としても活用が期待されている。戦闘研究所側は、来年に製品テストを実施する予定だとしている。