米誌「ナショナル・インタレスト(The National Interest)電子版」は6月10日、「中国は米空母を沈める新たな武器を手に入れたようだ」と題する記事を掲載。中国メディアもこぞって引用して報じた。米国防総省は6月7日に発表した「中国の軍事力に関する年次報告書」の中で、「“北京”によるアメリカ軍の空母を排除するための取り組み」を強調したが、6月初旬、中国は米軍にとって驚異的となる新兵器を発表したばかりだったからだ。
その新兵器とは、「彩虹T-4(Caihong-T4/CH-T4)」と呼ばれる軍用ドローン(無人機)。一見すると巨大な単葉機のように見えるが、翼幅はボーイング737より長いという。しかし重量はわずか400kg~500kgと超軽量で、機体はカーボンファイバーやプラスチックでできているという。飛行高度は約2万kmで、最高速度は時速200kmにもなる。驚くのは航続距離で、現状で数ヶ月間、将来的には1年以上も飛び続けることが可能だという。それを可能としているのは、動力に太陽光エネルギーを使用しているからだ。雲の上を飛ぶので、故障さえしなければ、延々と飛び続けることができる。
「ナショナル・インタレスト」では、この画期的なドローンは100万平方kmのエリアを監視することができるが、これがエジプトの面積に匹敵する広さだと指摘。例えば西太平洋で米空母の動きをリアルタイムで監視することも可能だとし、「空母キラー」と呼ばれる中国のミサイル「東風-21D(DF-21D)」、既存のレーダー網、人工衛星からの情報などミサイル・システムの一部に組み込むことで、驚異的な力を発揮するとしている。すなわち、彩虹T-4の出現で、中国はより正確に米空母を撃沈することが可能になったというわけだ。
米軍はこの新たな脅威の出現に対し、空母の運用を変えざるを得なくなっているという。また軍事衛星を打ち上げるよりはるかに安価に運用できることもあり、この軍用ドローンの存在を相当、警戒しているようだ。米中で繰り広げられるハイテク兵器の開発競争はまだまだ続きそうだ。
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