中国がドローンパイロット養成に注力...スクール数40校以上

ロボティア編集部2016年2月12日(金曜日)

 ハードウェアの大規模な生産で力を見せていたドローン大国・中国が、ドローンを操縦するパイロットの養成にも力を入れ始めている。

 中国には現在、ドローンパイロットを養成するスクールが40校以上開校しており、盛況とのこと。新しいタイプのドローンが次々と開発されるなか、それら扱うことができる専門家がより必要とされており、スクールビジネスもさらに需要が出てくるのではないかと予測されている。

 北京のドローンの製造・販売起業であるTT航空技術は、2週間のドローンパイロット養成短期集中コースを運営している。受講料は8000元(約13万6000円)。受講生は、ドローンに関する規制内容を学習し、フライトシミュレータ実習法やドローンの操縦方法を学ぶことができる。

 教育を終えた受講生は、中国の民間航空局(CCAA)が主管するドローン免許試験を受ける。免許証を取る場合、重量7㎏、飛行高度120m以上のドローンを操縦できなければならない。

 受講生の男性(24歳)は「免許を取得してドローンパイロットとして働けば、中国の月平均所得より多い5000元(約8万5000円)以上を稼ぐことができる。熟練したドローンパイロットは、そのさらに2倍以上の給与をもらっている」と話す。その男性は加えて、「ドローンサービス関連企業を設立、運営したい」とし「ドローン事業は今後、需要が高まる分野だ」とした。

 TT航空技術の運営関係者は「今年、中国だけでも1万人以上のドローンパイロットがすでに必要とされているが、現在、免許を持っている人は1000人ほど」とし「ドローンの操縦は自動車の運転と同じ。体系的な技術を訓練しなければならず、オペレーションに先立ち関連規則も習得しなければならない」と説明している。

 中国では、ドローンは農業と物流、映像産業、治安などの分野でイノベーションを起こす「ゲームチェンジャー(game-changer)」として脚光を浴びている。並行してロボット工学や自動化分野の需要や人件費が増加傾向にある。中国・深セン市にあるドローンメーカー・DJIは、米投資業界から80億ドル(約9000億円)の価値があると評価された。

中国ドローン教室 (2)
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 TT航空技術が製造したドローンの半分以上は農業に使われている。中国は農地が非常に広いが農業労働力は減少し、人件費が上昇している。農薬散布などの過程でドローンの需要が高まっている。また今後は、警察のパトロールにドローンを利用したり、配管設備の地図を作成するのにドローンを投入するなど、公共分野での需要が増加する見通しである。

 中国当局もドローンを飛ばすことができる領空を設定するなど規制の整備に拍車をかけている。ドローン企業の関係者は、「ドローン運用においては、安全性を担保するのが最も重要。そのためには免許証を持ったパイロットが必要だ。保険に関してはもちろん必要だが、万が一の事故に備えてドローンの研究・トレーニングに厳しい規制を設けなければならない」と述べている。

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