米国防副長官「AIを戦場での意思決定に有効活用する」

ロボティア編集部2016年4月29日(金曜日)

 米ロバート・ワーク(Robert Work)国防副長官は、AIやロボットを使って、戦場での人間の迅速な意思決定をアシストする方法を模索していると述べた。4月27日、英フィナンシャル・タイムズなど海外メディアが詳細を報じた。

 ワーク副長官は「人間がより良い意思決定をできるようにAIを使用する(中略)機械とのコラボレーションは意思決定の助けとなり、人間により良い情報を提供することになるだろう」と説明した。

 各界からAIを活用した兵器の開発に対し警鐘が高まるなか、今回のワーク副長官の発言は、アメリカおよび国際社会に少なからぬ反響や影響を与えられると見られている。

 人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)と米ハーバードロースクールの研究者は、今月初めに提出した共同報告書で、急速に発展する「殺人ロボット」の危険性を警告した。また、宇宙開発企業・スペースXや電気自動車メーカー・テスラモーターズを率いるイーロン・マスク氏をはじめ、物理学者スティーブン・ホーキング、アップル共同創業者のスティーブ・ウォズニアックなど、1000人を超える科学者やロボット専門家たちも、殺人ロボットの開発が国際的な軍備拡張競争を促進するものだと過去に指摘。AIを軍事目的で使用することを禁止しなければならないとしたことがある。

ロボートワーク米国防副長官
photo by U.S. DEPARTMENT OF DEFENSE

 米軍は、中国やロシアなどの国家に対し技術競争で優位性を維持するため、無人艦、無人飛行機に注力。またペンタゴンは、情報収集および敵検知ためのスーパーコンピュータなど、先端技術兵器の開発に多くの資金を投入している。

 ワーク副長官は昨年12月、安保関連フォーラムで「ロシア軍がロボット戦争を準備している」などと発言。中国およびロシアのAI開発スピードへ懸念を表明した。一方、「マスク氏などが最も懸念しているのは、AIが自らのコードを書き直すほどの知能を持つようになるということ。私たちが求めていることとは距離が大分遠い」と説明している。

 ワーク副長官はまた、完全かつ自律的に判断するロボットは、ミサイルやサイバー攻撃に対する防御手段としてのみ使用するとも言及。「このようないくつかの防御機能を除けば、致命的な措置を最終的に判断することは常に人間になるだろう」と強調している。