米国防省が人間とロボットの混成部隊を運営する計画だという。ペンタゴンの資料をもとに米メディアが報じたところによると、米国防省は同部隊のプロトタイプ設計・開発を外部企業に依頼していることが分かった。受注を受けたのは、バージニア州に本社を構える・Six3 advanced systems(以下、Six3)。同社は米国防総省から1100万ドルの費用を受け開発を進める。Six3は米国の軍需企業CACIインターナショナルの子会社で、米国の情報機関に軍用センサーや信号処理技術を提供している。
混成部隊設立の目標は、複雑化する軍事運用環境で部隊のパフォーマンスを最大化するために次世代システムを結合させること。つまりこれは将来の戦争に、人工知能(AI)や、次世代兵器システムを搭載したロボットプラットフォームが活用されていくという予測に基づいた施策と見られている。
英国情報機関である政府通信本部(GCHQ)で20年のキャリアを持つ元英国情報担当官ジョン・バセット(John Bassett)氏は昨年、米国がすでに数千台のロボットの“雇用”を試みたと伝えている。また「知能型ロボット兵器は現実的であり、2030年にはさらに一般的になるだろう(中略)2025年頃までには、米軍は人間の兵士よりも多くの戦闘ロボットを保持するはずだ」と指摘している。
一方、ロシアも将来の戦場に向けて戦闘用ロボットプラットフォームを開発中だ。ロシア軍にはすでに、爆弾処理ロボットや軍事用ドローンなどさまざまなロボット兵器が導入されている。ロシアの軍事専門家たちも、将来の戦争を牽引する主役はロボットになると見解を一にしている。
米国のDARPAに相当するロシアのARF(Advanced Research Foundation)に所属するAndrey Grigoriev中将は、昨年のインタビューで、ロシア軍が「急激にロボット化している」と証言している。そして「今後、戦場で互いに銃を向けるのは兵士ではなく、オペレータと機械(中略)兵士は次第にオペレータや操縦者になり、戦場から消えるだろう」と未来の戦場の風景について予測している。
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photo by US Marines