2人乗り電気飛行機「Lilium」欧州宇宙機関が開発をバックアップ

ロボティア編集部2016年5月13日(金曜日)

 世界では電気自動車に続き、電気飛行機が続々登場。注目を集めています。

 代表的なのは、ドイツ・ミュンヘン工科大学(Technical University of Munich)のメンバーが中心となり開発している「リリウム(Lilium)」。2人乗りの小型電気飛行機で、最大速度400km / h、最大航続距離(一度に飛べる距離)は500km、最大3000mの高度まで上昇することができるそうです。

電気飛行機_リリウム2

電気飛行機_リリウム3
photo by ESA

 翼についた複数のファンで推力を得る仕組みで、15m x15mの狭いスペースさえあれば垂直離着陸も可能(垂直離着陸のことを、英語ではVTOL =vertical take-off and landingというそうです)。なお、離着陸のプロセスは人間のパイロットではなくコンピュータが管理するとのことで、操縦も手軽。一般の航空機に比べ、飛行時のノイズも大幅に低減されているそうです。

電気飛行機_リリウム4
photo by ESA

 リリウムは現在、欧州宇宙機関(ESA)の事業インキュベーターの支援を受けており、すでに2分の1サイズのプロトタイプの飛行に成功しています。開発チームは、最低20時間の飛行訓練だけ受ければ操縦が可能になる「軽量スポーツ航空機」のカテゴリとして、また垂直離着陸が可能な機体として承認を受けるため、プロジェクトに邁進中です。

電気飛行機_リリウム5
photo by ESA

 欧州では、法律的に垂直離着陸ができる機体として承認を受けなければ、一般の飛行機と同じく飛行場での離着陸を求められとのこと。開発者たちは、素早く手軽に、また環境に優しい移動手段としての電気飛行機を普及させたいという目標を掲げており、欧州のメディアは、法律面での認可や調整が、プロジェクト成功の大きなネックになると予想しています。

 なお、リリウムは2017年に実際のサイズでのプロトタイプテスト飛行を終え、2018年には量産される見通しです。コンピューターで制御された小型電気飛行機が、通勤やレジャーに活用される日も、そう遠くないのかもしれません。