中国・深センのドローン対外輸出が前年比720%増、約31億元に

ロボティア編集部2016年5月26日(木曜日)

 中国ではドローンが一般に普及して久しい。北京や上海などの空港では、ミニドローンが自然と販売されており、ネット上では機体販売や教習などさまざまな広告が頻繁に表示される。習近平主席や李克強総理など、政府要人もドローン高い期待を寄せる。現地視察の現場や外国の来賓の前で、ことあるごとにロボットやドローンについて強調。中国経済の新たな成長原動力のひとつとして“猛プッシュ”している。

 実際、中国南部の改革特区である広東省・深センの対外輸出はドローンが牽引している状況だ。2015年のドローンの輸出額は、30億9000万元(約519億円)を記録。2014年に比べて720%増となった。深セン市の主なドローン輸出対象国は、香港、アメリカ、ヨーロッパなどだが、深センドローン業界のリーダーであるDJIは、アジア地域でもセールスを強化する見込みだ。1月28日に韓国に支社を設立し、3月には若者たちが集まる弘大地区に「DJIソウル」をオープンしている。

 最近発表された「中国ドローン市場追跡レポート」によると、2015年第3四半期には中国のドローン4万台が出荷されている。2016年には39万台が販売される見通しで、2019年にはドローンの市場規模が、中国国内だけでも300万台に達すると見込まれている。

 中国は軍事用ドローンの研究・開発にも余念がない。

 イギリスの軍事専門誌「ジェーン年鑑(jane's yearbook)」は、2014年の中国の党機関紙を引用。中国が今後、北京・大興区に軍事用ドローン工場を建設する計画だと指摘している。ジェーン年鑑によると、中国はこの大興の基地に2015年までに100億元(約1680億円)、2020年までに300億元(約5042億円)、2025年までに1000億元(約1兆6808億円)を投資し、世界ナンバー1の軍事用ドローン大国を目指すとしている。中国はすでに「翼竜」というニックネームを持つ軍事用ドローン「CH-4」を開発し、長距離飛行能力を誇示。また無人攻撃機「H-3」と「WJ-600」も実戦配備、運用している。

 多少、手前味噌な感も否めないが、中国官営メディアによると、現在、国際市場で取引されているドローンのうち10台中7台は中国製だという。全世界の民間ドローン市場規模は1000億ドルと推定され、今後10〜20年で黄金時代を迎えると予想されている。