ドローン配達を実現しようと、世界中の企業が技術開発に邁進している。ただ、配送中のドローンから荷物が落下、人間に衝突して事故に繋がることへの不安は拭えない。
Googleは4月25日、そのような事態を回避するための技術としてドローン配送システム(drone delivery system)に関連する特許を取得した。
Googleが今回取得した特許は、いわゆる受取人もしくは通行人通信装置(bystander communication module)に関するもの。特許の基本的な骨組みは、荷物の載せ下ろし時の不測事態に備えたアイデアを集めたもので、テザー(ロープや綱など機体と荷物を繋ぐもの)を利用した荷降ろし・集荷に関する技術など一式となる。
ユニークなのは、ドローンが荷物を下ろす間、ドローンから警報音(ビープ音)や「配信中のため近づかないでください」などの音声を発生させる点。また、荷物を降ろす際に周囲にいる人間が接近しないよう、赤色や黄色にライトが点滅する。一方、荷物を降ろし終わった後には、「荷物を受け取れます」という音声を発生させたり、緑色など安全を知らせるライトを点滅させる仕組みだそうだ。
さて、米国では順調にドローン配送技術が開発されていると思いきや、そのような特許や技術があったとしても、ドローン配達の実現には「まだほど遠い」とする意見が多いようだ。
例えば、ウェドブッシュ証券(Wedbush)のアナリスト、マイケル・パッチャー(Michael Pachter)氏は、配達中のドローンが荷物を落とさず、また高速道路に不時着し事故を誘発しないなど、人々にとって安全であると確信を持つには、少なくとも5年~10年以上はかかると予想している。
なお、Google広報担当者は「さまざまなアイデアについて特許を保有している(中略)それらのいくつかは後に商用化されるだろうし、実際の製品やサービスに搭載されないものもあるだろう」と述べており、これはあくまで、ドローン配送の実現に向けて前向きに技術の開発・および確保を続けるという立場を示しているに過ぎない。おそらく、Google側もすぐに実現するとは思っていないが、今後のビジネス的な広がりを考慮して用意は怠らないという考えなのかもしれない。
現在、ドローンの墜落については、機体にパラシュートを搭載して、安全策を図るという試みが増えつつある。ただ、そうような安全策を講じたとしても、機体および荷物の落下が100%ないとは言い切れないだろう。おそらく、10年後ですら無理ではないだろうか。そうなると、技術は発展しても世論が納得せず、いつまでもドローン配送が実現しない可能性がある。
まず前提として、車や自動二輪、飛行機、船など、これまで配達を担ってきた乗り物が事故を起こすリスクや、ドローンを導入するメリットを比較・検討し、具体的な数字を根拠として提出していく必要がありそうだ。つまり、ブームではなく、社会的に有用だということを証明しなければならない。
並行して、人間やその他交通機関とのルート調整、都市部で多くのドローンの飛行を制御するための管制システムや、電波関連の技術的・法的整備も必要になってくるだろう。載せ下ろしする際の警報音などは、ある意味、表面的な技術に過ぎない。今後、ドローン配送を実現するための本質的な課題の把握、解決はまだまだ山積みというのが現状となっている。