配達ドライバーが最寄りの地点まで荷物を運び、最終的に車体に備え付けられたドローンが運搬作業をフィニッシュする――。
メルセデス・ベンツ・バンズ(ダイムラー社のバン部門)は、そのような物流構想を現実のものとしようとしている。ドイツ・ダイムラー社およびメルセデス・ベンツ・バンズが、米カリフォルニア州・メンロパークに拠点を構えるドローンメーカー・マターネット(Matternet)に、数百万ドル規模の投資を行っているのが、そのひとつの証拠となりそうだ。
ドイツ・シュトゥットガルトで行われたメルセデス・ベンツ・バンズのプレゼンテーションでは、「ビジョンバン(Vision Van)」のコンセプトが披露された。ビジョンバンは、配達員と顧客の双方から荷物を追跡できるよう「完全にデジタル接続されたバン」で、通知後すぐに飛行可能なドローンがふたつ備えつけられている。
メルセデス・ベンツ・バンズのヴォルカー・モーンヒンウェグ(Volker Mornhinweg)代表は言う。
「この小さなロボットヘルパー(ドローン)のために、バンは“母船”になります。(中略)ドローンやロボットは、お客様の業務のため蜂のように群れをなし、一生懸命働きます」
モーンヒンウェグ氏は、多忙な配達ドライバーの作業を軽減することを目標に掲げる。マターネットが開発した完全自律飛行型ドローン「M2ドローン」は、約2㎏の荷物を12マイル先まで、運ぶことができるという。また、電源障害やその他トラブルが発生した際には組み込まれたパラシュートで緊急着陸を行うなど、都市部・農村部の両環境で動作するように設計されている。なお、経路としては承認されたルート上を飛行する。
マターネットのアンドレアス・ラプトプーロス(Andreas Raptopoulos)CEOは、両社の関係性を次のように説明する。
「メルセデス・ベンツ・バンズと我々は、品質、安全性、信頼性、効率性を高めるだけではなく、“交通の未来”を創造していくパートナー(中略)我々は“ラストマイル(注)の物流”を自動化するために、共通のビジョンを掲げている。この提携により、配達の時間とコストを削減するソリューションを構築しています」
既存の物流のプロセスに、ドローンはどのような変化やアクセントをもたらすか。その“最適解”が現実のものとなる日が待ち望まれている。
注:ラストマイル(ラストワンマイル)
通信また物流分野で頻繁に使われる用語。物流分野では一般的に、インフラが整った経路、もしくは最寄り地点から、消費者の手元までのワンマイルを指し、この距離を制することがビジネスにおいて重要だと認識されている。