株価暴落、テロ速報...ロボットジャーナリズムは記者より優秀?

ロボットジャーナリズム_dataminr
photo by Dataminr

 ロボットジャーナリズムの使用が拡大されるにつれ、市場も急速に成長している。韓国科学技術情報研究院(KISTI)が発行した「KISTIマーケットレポート人工知能特集号」にはロボットジャーナリズムの世界市場規模の推移が予想されている。2014年には2億8000万ドルから2021年12億ドルへ。年平均17.4%ずつの成長が示された。

 ロボットジャーナリズムの分野が急速に成長することで、人間の記者の仕事が奪われるという意見も出ている。ロボットの方が効率的に優れている面があるからだ。

 未来学者であるトーマス・フレイは「コンピュータアルゴリズムとロボットの開発が進み、20年後には20億個の職業が消えると予想されるが、ここには記者も含まれる」と指摘したことがある。

 ロボットジャーナリズムの実情を知る報道関係者は「(ある報道機関では)ロボットが1日250個程度の記事を書いている(中略)ロボットが書いた記事は、インターン記者が記事を書くレベルで、人間の記者が校正・校閲を行えばすぐに記事にできる」と説明している。

 ロボットジャーナリズムは、読者によってパーソナライズすることができるため、個別にカスタマイズされた速報を読みたい読者のニーズを満たすことができるという主張もある。報道機関が、読者が気になるすべての記事を書くには、莫大な人件費と時間が必要だが、ロボットはそれを簡単に解決することができる。

 一方、ロボットジャーナリズムは、データに基づいたニュースしか書けないという欠点もある。つまり現象を見聞きしたり、それをデータとしておこすには人間の力が必要となるということだ。また、ひとつの現象について、単純な事実しか伝えることができないという問題も指摘されている。むしろ、単純な事実以上の見解については、ロボットが書くことを許すかどうかという人間側の事情の問題もある。

 例えば、今回、英国のEU離脱問題をニュースをロボットが報じるとしよう。その投票結果は報じることはできる。ただ、どちらの結果が正しかったかという見解を書くことは難しかったり、そもそもそれ書くこと自体、“正しい”のかという問題が出てくる。また、ロボットジャーナリズムには、虚偽の記事を広めた場合、罰せられたり,責任を取る主体がまだ想定されていない。ともあれ、ロボットが膨大な情報から記事を生みだすという作業はすでに始まっていて、その精度も日毎に上がっている。今後、ロボットジャーナリズムは、社会にどんな変化をもたらすのだろうか。好奇心が尽きない話題だ。

河鐘基

記者:河鐘基


1983年、北海道生まれ。株式会社ロボティア代表。テクノロジーメディア「ロボティア」編集長・運営責任者。著書に『ドローンの衝撃』『AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則』(扶桑社)など。自社でアジア地域を中心とした海外テック動向の調査やメディア運営、コンテンツ制作全般を請け負うかたわら、『Forbes JAPAN』 『週刊SPA!』など各種メディアにテクノロジーから社会・政治問題まで幅広く寄稿している。