開発が進む水中ドローンの位置把握&航行システム

ロボティア編集部2016年7月16日(土曜日)

 空を飛ぶドローンの自律飛行制御、また機体の位置を把握する技術としては主に、GPS(全地球測位システム/グローバルポジショニングシステム)が採用されている。一方、水中ドローンの位置を把握する、いわゆる“水中ナビゲーション”技術の中核となっているのは超音波だ。開発関係者は言う。

「電波が海面で反射してしまうため、(水中ドローンには)GPSを使うことができない。音波は水中でも比較的、遠距離まで、また早い速度で移動することができる。また、距離が遠くなるにつれ信号が弱くなる減衰率も低く、水中ナビゲーションシステムに活用されている」

 水中ナビゲーションシステムは、世界的にも最先端の技術とされている。米国防総省傘下の国防高等研究計画局(DARPA)は最近、水中ナビゲーションシステムおよび深海測位システム「ポサイドン(POSYDON)」を開発し、早ければ2020年から稼動する計画だという。ポサイドンは超音波発生装置が約50台繋がった巨大な超音波ネットワークである。

 開発に携わるのは、マサチューセッツ工科大学、ワシントン大学、米航空宇宙企業・BAEシステムズなどで、今年5月に開発計画を発表している。関係者は「ポサイドンを構築されれば、海の中で自分たちの位置を容易に把握することができようになるだろう」としている。

 現在、ポサイドンは、米海軍の「ブルーフィン21(bluefin21)」など、軍事用ドローンのオペレーションに活用される予定。またDARPAは今後、大型潜水艇や民間用水中ドローンなどにも適用範囲を広げるかまえだ。

 さらに低コストな水中GPSも開発されている。MITは5月、米国電気電子学会(IEEE、アイトリプルイー)が、スウェーデンのストックホルムで開催した「2016ロボット工学とオートメーションに関する国際会議(ICRA2016)」で、超小型位置認識システムを採用した水中ドローン「サンドシャーク(SandShark)」を公開した。

 開発関係者は「最近、微小電気機械システム(MEMS)が発展し、チップサイズの超小型受信機をつくることができるようになった」としている。