DARPAが支援する米アザーラボ「紙ドローン」開発...最終目標は”自ら消滅する機体”

ロボティア編集部2017年2月9日(木曜日)

 米国防総省傘下の国防高等研究計画局(DARPA)が開発補助金を支援した、「紙ドローン」のプロトタイプが披露された。紙ドローンは、任務が終わったらなくなる“使い捨てドローン”のコンセプトで開発が進められる予定だ。

 サンフランシスコに拠点を構えるアザーラボ(Otherlab)は、DARPAから支援された補助金を利用し、紙ドローンのプロトタイプを開発した。段ボールで製作したそのドローンは、危険もしくは人間の接近が難しい地域に医薬品、電池、通信機器などの物資を送る用途で開発されている。

 紙ドローンは着陸地をあらかじめプログラミングされており、貨物飛行機や航空機から発射される。テストでは他の大きなドローンから発射された。小さな電子デバイスが各ドローンを目標地まで誘導するが、飛行にはモーター、バッテリ、燃料などが必要ない。そのため、物資を積載するスペースが、他のドローンに比べて広いという特徴がある。

 ドローンはすでに多くの分野で実用化が進むが、米国防総省は完全な使い捨てドローンや、分解型ドローンを構想している。DARPAのイカルス(Inbound、Controlled、Air-Releasable、Unrecoverable Systems; ICARUS)プロジェクトの紹介をみると、今後「わずかな空気で消えるドローン」の構想が明かされている。

 プロジェクトエンジニアであるアザーラボのスター・シンプソン(Star Simpson)氏は、今回使用されたダンボールは、設計通り正しく動作することを証明するために使用されたと言う。最終的な目標は、ドローンのボディをキノコのような菌糸体の繊維にするものだそうだ。胞子が育てば、5〜6日でドローン本体を侵食し食べてしまい、はれて“消滅するドローン”の完成というわけだ。

 シンプソン氏は、「私たちの予備研究では、基本的に菌糸体の胞子を注入することができることを示した」と話す。またアザーラボは、このプロジェクトのプレスリリースで、C-130軍用機は、一回の飛行でカリフォルニア州ほどの大きさの地域に、何百ものドローンを分散させることができると述べている。

 アザーラボはこれまで、最大1kgの荷重に耐えるられるモデルをテストしたが、今後は最大10kgの荷重に耐えることができる、約2.4メートルの長さの翼を持ったドローンを開発する予定である。

photo by Otherlab