島国・バヌアツでユニセフが大規模な医療物資の配送用ドローンを計画…南太平洋の島間物流が変わるか

ロボティア編集部2018年6月12日(火曜日)

ユニセフ(国連児童基金)が南太平洋の島国・バヌアツで、ドローンによる医療物資輸送プロジェクトを推進している。バヌアツは83つの火山島が1600kmにわたって広がる群島国である。そのうち空港・港がある3つの島を対象に、参加を希望するドローン事業者の中から3社を選定しプロジェクトを行う。

ユニセフは9月から2ヵ月にわたり島内の一部でワクチン輸送テストを実施した後、バヌアツ全域へとエリアを拡大し、医薬品の種類を増やす予定だ。同プロジェクトが成功すれば、対象エリアを南太平洋地域島全体に拡大し、島間での輸送も進めていく計画である。

これまで、島までは9人乗り飛行機・船を利用して医薬品を届けてきたが、島内に届けるための輸送はまた別問題であった。島内では主に医薬品を保冷バッグに入れ、遠く離れた病院・施設まで歩いて届けていた。そのため医薬品の緊急輸送が難しく、整備されていない道路を歩くと時間がかかり、到着まで医薬品が変質する恐れがあった。険しい山が多いなどの地理的問題に加え、医薬品を保管する冷蔵庫や病院の太陽光システムが故障したら緊急輸送はより困難になっていた。

バヌアツ全人口のうち85%の住民は医薬品の恩恵を受けているが、まだ15%の住民は受けられていない。ユニセフは、ドローンを利用して小さな島や遠疎地にワクチンや医薬品を迅速に輸送できれば「ラストワンマイル問題」を解決できると予想している。

同プロジェクトにはドイツ・ウィングコプター(Wingcopter)、ニュージーランド・スカイベース(Skybase)などの参加が予想される。ウィングコプターは「最大重量6kg」「最長距離100km」「固定翼とプロペラの同時使用」「垂直離着陸」などの機能が備わった「ウィングコプター178ヘビーリフト」を投入する計画である。スカイベースは目視外飛行(BVLOS)の技術を持つ企業である。ドローンが山を越えた状況でも、メッシュネットワーク技術を活用した「遠隔地映像のリアルタイム配信」が可能だ。 スカイベースは米・マグエアロ(MAGaero)と連携して、同プロジェクトを進める方針である。

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