カナダ・オンタリオ州政府は、GEカナダ(米ゼネラル・エレクトリックのカナダ法人)がオンタリオ州に建設予定の先端エンジン製造工場に対し、2,050万米ドル(約20億5,000万円)の支援を行うと発表しました。同工場は2018年初頭をめどに操業を開始する予定で、世界市場向けにエネルギー効率の優れたエンジンや、その他の部品を製造する計画です。
今回のGEによる大型投資により、今後 5 年間で220人分の新規雇用がオンタリオ州に創出されると同時に、州内の部品メーカーなど地元経済の活性化に大きく貢献することが期待されています。
同州南部ナイアガラ地域のウェランド市に建設されるこの工場は、45万平方フィート(約41,800平米)の広さで、「インダストリアル IoT (IIoT)」の採用により、GEが保有する世界の工場の中でも技術的に新鋭の工場の一つとなります。
新工場は、GEが掲げるデジタルを活用した先端のスマート工場「ブリリアント・ファクトリー」となる予定で、こうした工場がカナダに建設されるのは初めてです。工場の機械や組み立て設備はすべて、制御システム、センサー、ソフトウェアで構成されるネットワークに完全に統合されます。制御レベルと柔軟性が高度に高まるため、市場ニーズに対応した多様な部品を製造することが可能になります。
■GE がオンタリオ州を選んだ理由
世界大の製造企業である GE が今回、新鋭の IoT 工場の建設地にオンタリオ州を選んだ背景には、同州のイノベーション環境や高技能労働力のほかに、国際市場へのアクセスの点で戦略的に優れた立地であることを高く評価したことがあります。
新工場で生産される製品の約80%は輸出に向けられますが、GE の顧客が将来この工場の製品をカナダから輸入する際に、カナダの輸出信用機関であるカナダ輸出開発公社(Export Development Canada, EDC) の融資を受けられることが、工場建設地の決定に大きな役割を果たしました。
オンタリオ州政府は、「雇用と繁栄の基金」(Jobs and Prosperity Fund, JPF)を通じて 10 年間で 20 億米ドル(約 2,000 億円)以上を投じ、企業の事業発展に寄与する拠点として同州の魅力を高め、企業誘致に取り組んできました。今回のGEの工場新設に関しても、GEの総額1億8,500万米ドル(約185億円) の投資に対して、州政府は JPF を通して 2,050 万米ドル(約 20 億 5,000 万円)の条件付き助成金を提供します。
キャスリーン・ウィン オンタリオ州首相は、「今回の GE によるウェランドへの投資の決定は、オンタリオ州には提供できるものがたくさんあるということを明確に示すものです。州政府は投資先としてのオンタリオの評価を高めるべく今後も尽力し、州全域の雇用創出・経済成長に取り組んでいきます」と述べています。
エリス・アラン GE カナダ社長兼高経営責任者(CEO)は、「オンタリオ州政府、ナイアガラ地域、ウェランド市によって提供されるすばらしい支援は、ウェランドに工場を建設する当社の決定に大きな影響を与えました。当社が、雇用を創出し経済成長を進めるために今後も緊密な協力を続けられることを期待しています」と述べています。