ビジネス向けのグループチャットツールを提供するスラック・テクノロジーズ社(Slack Technologies Inc.、本社:米サンフランシスコ)が、オンタリオ州トロントに、新たな営業・カスタマーサービスのオフィスを開設すると発表した。
スラックは、リアルタイムのメッセージングやアーカイブおよび検索機能を提供するチーム・コミュニケーション・ツールで、トピック別にまとめられたプライベート・グループや、ダイレクト・メッセージング、永続的なチャット・ルームを提供する。
すべてのコンテンツはひとつの検索ボックスから検索可能で、複数のチームが様々な場所から共同作業をする際に、チーム同士を容易にかつ効果的につなぐことができる。また、チームメンバー間のコミュニケーションに関するシンプルなアプローチにより、情報やファイルのやり取りの効率的な流れを作り出し、チームが、どのメッセージをグループ全体で受け取るか、あるいは、メンバー個人のみが受け取るかを制御することを可能にする。
トロントへのオフィス新設決定は、北米東部の顧客サービスの対応するためのもの。スラックは新オフィスの所在地にトロントを選んだ理由として、北米において、優秀で最も多様な人材の存在を挙げる。人材の多様性は、特にカスタマーサービスというビジネスにとって大きなメリットとなる。
スラックのアリ・ライル(Ali Rayl)カスタマー・エクスペリエンス部長は、「トロントは北米の中で最も多様で活力に満ちた都市のひとつで、スラックがグローバル市場で拡大していくうえで理想的な場所です。新オフィスの拠点として多くの候補地を調査した結果、トロントはいくつかの理由で突出していました。つまり、教育水準の高い人々からなる活気ある多様性に富んだ社会であること、事業コストの優位性があること、そして、住むにも働くのにもすばらしい場所であるということです。当社は、この革新的なコミュニティーの一員に加われることを大変喜ばしく感じます」と述べている。
一方、オンタリオ州政府経済開発省ブラッド・デュグイッド大臣は、「今回のスラックの決定は、オンタリオ州の高技能で多様性に富んだ人材に対する明確な信任投票です。当州で拡大を続けるハイテク企業のクラスターにスラックが加わることを喜ばしく思います」とコメント。またトロントのジョン・トーリー市長は、「トロントはテクノロジーが急成長する場所、活気あふれる文化、そして北米で最も多様性に富んだ都市における共生のあり方によって、世界から注目を集めています。スラックが当市にオフィスを構え、雇用を創出し、イノベーションと経済成長のグローバルの中心地という評価を高めてくれることを嬉しく思います」と述べている。
トロント市には、インベスト・トロントという団体がある。同団体では、グローバルな投資の決定をしようとしている企業や投資先決定者に 1 対 1 の助言を提供。その規模にかかわらず、トロントで新規事業を始めようとするすべての企業に対応する。
インベスト・トロント(Invest Toronto)のテリー・オリアリー最高経営責任者(CEO)臨時代理は、「スラックが新オフィスの拠点先にトロントを選んだことを喜ばしく思います。当市は北米で最も多文化の都市で、人口の半分以上がカナダ国外の出身であり、140 近くの言語が話されています。グローバル展開する企業にとって、多文化・多言語の人材にアクセスできることは、国際市場に多いに活用することができます。最も急速に成長するハイテク企業の一社を当市のビジネス・コミュニティの一員として迎えられることに感激しています」と述べています。
なおオンタリオ州には、大手IT企業の拠点進出も相次いでいる。物流大手・アマゾン(Amazon)は、今年8月、同州のオタワに音声認識ソフトウェア「Alexa」の開発拠点を開設した。