四肢まひ患者「脳に電極」で触覚回復…オバマ大統領と握手

ロボティア編集部
ロボティア編集部

 今回の研究を率いた同大学リハビリテーション科のロバート・ガウンツ(Robert Gaunt)準教授は、「触れることは単に心理的なつながりを得るだけではない。ごく基本的な触覚がなければ、物のやり取り、物を拾うこと、物を手で扱うことなどに非常に苦労する」と語る。

 触覚を持つ義肢開発のはじめのステップとしては、義肢にセンサーを取り付けること。次のハードルは、センサーでの信号の入出力をいかに実現するかだ。これについては例えば、四肢を失った患者の手足の残された部分の神経細胞と、ロボットアームを直接つなぐ試みがなされている。

 これまで、四肢と脳の間を伝わる情報が脊髄損傷によって遮断された場合、信号の入出力は不可能であると考えられてきた。しかしサルを使った先行研究では、脳へ電極を埋め込むことで解決するかもしれないという道が示された。ピッツバーグ大学医療センターの外科医らは2015年3月、コプランド氏の脳の手の感覚をつかさどる領域に、電極を埋め込む手術を施した。

 この領域の脳細胞に対する電気刺激は、10年以上前に四肢まひになったコプランド氏にも有効だった。

 同大学の神経生物学者アンドリュー・シュワルツ(Andrew Schwartz)氏は「脳の電極を通じて自然の感覚が得られることが分かった」と話す。

 カリフォルニア工科大学の神経科学者リチャード・アンダーセン(Richard Andersen)氏は、「この研究はコプランド氏ひとりだけを被験者にして行われているが、触覚能力の構築に向けての第一歩だ(中略)触覚のフィードバックでロボットアームの性能を高めるにはさらなる研究が必要」とコメントを寄せている。アンダーセン氏の研究チームも、いわゆるこの“マインドコントロール義肢”を研究しており、ペンシルベニア大学と同様の実験を開始する予定だ。

 コプランド氏によると、現在進行中の研究はより精巧になっており、電極が出す刺激量を変えながら物を拾い上げる実験を行っているともいう。なお、コプランド氏はロボットアームを家に持って帰るつもりはないそうだが、「科学の進歩に貢献できたことを誇りに思う」としている。