建築物を半日で「3Dプリンティング」...MITの新型建築ロボット登場

Jin Kodama2017年5月7日(日曜日)

 MITで材料工学、デザインを研究している科学者たちが、3Dプリント技術を駆使して家を建築するロボットを開発した。同建築ロボットを使えば、わずか半日で「イグルー(氷雪の塊で作られたイヌイットの住居)」のような円形の建築物を建てることができるという。

 これまで多くの科学者たちは、3Dプリンティング技術を活用し、大きくて頑丈な家を短時間で建てる方法を研究してきた。そこで問題となっていたのは、建築現場に3Dプリンティング技術をどのように上手く応用するかということだった。

 MITのネリ・オックスマン(Neri Oxman)教授が率いる研究グループは、その点に着目しアイデアを練り上げてきた。オックスマン氏らはもともと、産業用ロボットアームが装着された建築用ロボットを開発してきたのだが、彼らが最近公開した建築ロボット=新型ロボットアームには、さまざまな種類の押出成形ノズル(extrusion nozzles)が備えつけられている。

 ノズルにはデジタルプラットフォームを通じて調整可能な、さまざまな機能のセンサーが備え付けられている。センサーを通じて情報を収集することで、複数の種類の建築資材を噴射したり、穴を掘ったり、噴射した物質の表面をきれいに仕上げることができる。また同建築ロボットには、レーザー技術も採用されている。ロボットアームの先端からレーザーを照射することで、作業中の建築物の異常を確認しながら安全に作業を進めることができるという。

 なお研究チームによれば、建築ロボットはポリウレタン発泡剤(polyurethane foam)で型枠を作成したのち、その中にコンクリートを注入する方法で家を建てる。これまで工事現場では、型枠を作る過程に多くの困難が伴ってきた。高層ビルや地下建造物を建設する場合には作業者が危険に見舞われ、人命被害も少なくなかった。建築ロボットは、それら事故を防ぐ上でも有用と見られている。

 なおMITが披露した建築ロボットは、14時間の間に直径15.24m、高さ3.65mの建物を完成させた実績を披露している。

 ちなみに同プロジェクトには、MIT・MMT(Mediated Matter Group)研究所も共同で参加している。オックス氏は、MITメディアラボ(Media Lab)とMMTの創設者でもある。彼女は世界的に名声を得る3Dプリンタを使った建築家で、ニューヨーク近代美術館(MOMA)には作品が数多く所蔵されている。そのオックスマン氏は、公開されたような建築ロボット、もしくはロボットアームが、3Dプリンティング建築を支える核心的な技術になると自信をのぞかせている。

 また今回プロジェクトに参加した研究者らも、今後、巨大な倉庫や高層ビル、ドームなど、特定の構造を持った建築物の建設に、同建築ロボットを応用できると研究成果に積極的な意義を見出している。

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