「20年以内に60万人の雇用消失」英建設業界…ロボット化で熟練工も不要に

ロボティア編集部2017年11月6日(月曜日)

建設ロボットの導入が進み、今後20年以内に、英国から60万の関連雇用が消えるという見通しが発表された。

ロンドンに本社を置くエンジニアリング企業・メイス(Mace)は、建設分野において人間が果たしてきた役割の多くを、ロボットおよびデジタル技術が代替していくとした。また2040年には、現存する220万の雇用のうち、60万が消失するだろうと予想した。

代替が現実的として真っ先に挙げられている職種はラッキング業で、現在の7万3000人から、4300人にまで激減すると予測されている。また大工および室内設備の技術者は、26万人から1万5500人に、単純労働者は12万7000人から7500人に、塗装およびインテリアデザイナーは11万人から6500人まで減るとの見通しが示された。

メイスは、ロボットにより雇用が減る一方で現場の安全性は向上し、建設プロジェクトの進捗が速まるだろうとも予測している。報告書はまた、建設業界において、コンピュータプログラマーのような新たな職種が生まれるだろうと分析する。そして、それら主要な変化に適応できなければ、建設業界は危機に直面すると警告した。

メイスのマーク・レイノルズ(Mark Reynolds)CEOは「現在の『熟練技術不足』は解決される必要があり、デジタル革命が新たな機会をもたらすだろう」としている。メイスは加えて、建設業界の従事者1人当たりの生産性が過去10年間停滞しているのに対し、サービス業は30%、製造業では50%増加したとも付け加えた。

現在、多くの建設会社が「ロボットビルダー」に投資している。7月には建設大手キャタピラー(Caterpillar)が、わずか2日で家を造ることができるロボットに投資している。「ハードリアンX(Hadrian X)」という名称のそのロボットは、1時間あたり1000つのレンガを積み、必要な場所に接着剤をつけることができる。キャタピラは、ハードリアンXを開発するファストブリック(Fastbrick)に200万ドルを投資。近いうちに、ハードリアンXが世界中の建築現場に登場するだろうと明言した。

ファストブリックCEOのマイク・ピバック(Mike Pivac)は、完全に自動化された自社のエンドツーエンドの3Dプリンティングラッキング技術が、今後、建設業界の主流になるだろうと自信をのぞかせている。

熟練工の減少は、英国以外の先進国でも顕著だ。今後、世界の建設現場でロボットがどのような役割を果たしてくのか、また人間の仕事をどう代替していくのだろうか。