昨年、中国ではベンチャー企業への投資が過去最高水準となった。世界的にベンチャー企業への投資は縮小傾向にあるが、それとは対照的な様相となる。
コンサルティング企業KPMGの報告書によると、中国ベンチャーキャピタルの投資額が昨年310億ドル(約3兆5000億円)となった。前年の260億ドルに比べ19.2%増加した額だ。なお同期間のベンチャーへの投資回数は、513回から300回に減少した。
投資回数が減ったにも関わらず、総投資額が大幅に増えた背景には、大規模な投資が相次いでいる事情がある。例えば、中国最大の電子商取引企業であるアリババの金融系列企業アントフィナンシャルは、昨年4月に45億ドル(約5155億円)を投資されている。
2016年の世界的なベンチャー投資は1270億ドル(約14兆5000億円)で、前年より9.4%減少した。アメリカとヨーロッパのベンチャー投資額はそれぞれ、12.2%(820億ドル→720億ドル)、11.1%(180億ドル→160億ドル)と減少を見せている。
中国のベンチャー投資状況を地域別にみると、まず北京のベンチャー投資企業が全体の半分以上となる185億ドル(59.7%)を占めた。中国の各地方政府も新たな成長産業を育てるため、昨年初めからベンチャー企業の投資に積極的に乗り出している。
KPMG側は「アジアの投資家たちの主な投資関心対象が変化しはじめている」とし「以前はO2O(オンラインtoオフライン)であったが、昨年下半期からは人工知能、ロボット、ビッグデータなどに変化している」と説明した。また、「フィンテック、教育、健康関連スタートアップへの関心が高まっている」と伝えた。
またKPMG側は「今後、中国の海外ベンチャー投資は、新しい技術を取得するためにさらに増加するだろう(中略)特に米国が多数の中国ベンチャー投資家の投資対象となるだろう」と付け加えた。
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