グーグルのサンダー・ピチャイCEOは、3月6日、役職員に送った電子メールのなかで、アジアで数週間の間に起こったことが欧州や米地域にも現実的に近づいている、人工知能(AI)を活用して新型コロナウィルスの治療法開発に貢献すると明言。子会社であり、英国に拠点を構えるディープマインド社の医療用AIを、新型コロナウィルス撲滅に投入する計画を示唆したという。グーグルは疾患を引き起こすウイルス「SARS-CoV-2」のタンパク質構造をAIで解析する計画だ。
AI産業でトップを走る米国では、新型コロナウィルス撲滅のために医療用AIを全面に押し出す企業が増えている。米製薬会社インシリコ・メディシンは最近、新型コロナウィルスのワクチン開発を促進するため、治療に役立つ数百種類にわたる化合物の分子構造情報をホームページに公開した。AIで数千個の分子を分析。新型コロナウィルスに適した分子構造を抽出した。分子構造分析にかかった時間はわずか4日だった。米バイオスタートアップのヴィル・バイオテクノロジーも、AIを通じた化学データ分析を行い治療剤の開発に乗り出している。
ビックデータを活用し、伝染病の拡散経路を予測するサービスも登場している。米データ分析企業・SASは、米国食品医薬品局、疾病統制予防センター、保健福祉部など政府省庁と協力。新型コロナウィルス関連情報を提供している。同社は現地患者の詳細情報や衣類物資の使用状況、海外拡散事例のデータを集め、予想される感染者と拡散傾向を計算。SASのスティーブ・ベネット理事は、機械学習を通じて全世界に散在している大量のデータを検討し規則を見出すとし、ソーシャルメディアに掲載されるデータまで収集•分析することで、地域別に医療支援が必要な規模と現況を示すことができると説明している。
一方、中国の病院では医療陣と患者の接触を減らすロボットの使用が注目を浴びる瀋陽市赤十字会と各病院には、呂尚科技(Lvshang Technology)から医療用パトロールロボット「守望者」が無償で提供された。同ロボットはカメラで患者の顔を認識し医師が処方した薬品を渡す。体温・血圧測定など簡単な身体検査もチェックできる。自律移動機能があり、病院内を移動しながら消毒までこなす。
中国では通行人の体温を検知する「スマートヘルメット」も登場した。中国の軍事企業・光啟科技が開発し同製品は熱センサーカメラが搭載されている。最大5m以内の通行人の仁体温をリアルタイムでチェック。搭載されたスクリーンに結果を表示する。体温が37.3度以上の人が現れるとアラートを表示。顔認識AIで身元を確認する。
中国では、いわゆる無人食堂など「非対面技術」の活用も高まっている。先月13日、武漢には不動産会社カントリー・ガーデンによって無人ロボット食堂が設置された。人が材料を事前に準備しておけば、15分以内に36人分の丼もの料理を調理する。観光地のシャトルバスとして活用されていたバイドゥの自律走行ミニバス「アポロ」も、北京・中関村団地内の56社に弁当を配送するサービスを行っている。一方、アリババは患者の肺CT写真を分析して、20秒で新型コロナウィルス感染有無を判断できるAI診療システムをリリースしている。